Google、モバイルBaaSのFirebaseを買収、クラウドに統合へ。モバイルアプリのオフライン対応、リアクティブプログラミングなどを実現
Googleは、モバイル向けのバックエンドサービス、いわゆるモバイルBaaSを提供しているFirebaseの買収を発表しました。
Googleは以前からGoogle Compute Engineなどにモバイルバックエンド向けのフレームワークを提供していましたが、今回のFirebaseの買収によってその機能が飛躍的に強化されることになりそうです。
FirebaseはいわゆるモバイルBaaSで、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションの開発者向けにスケーラブルなバックエンドサービスを提供しています。
JavaScript、Objective-C、Javaに対応しており、開発者はこれらのプログラミング言語を用いてクライアント上でデータベースを操作するコードを書くだけで、バックエンドのことは気にすることなくアプリケーションを開発できます。またREST APIでバックエンドにアクセスすることも可能です。
リアクティブプログラミングとオフライン対応
Firebaseの特長は、リアルタイムなデータ同期とオフライン対応です。
Firebaseを利用するモバイルアプリケーションでは、Firebase用のライブラリをインクルードし、そのライブラリが提供するAPI経由でバックエンドとのやりとりを行います。
データをバックエンドに保存する際には、APIで生成したオブジェクトに値を書き込みます。すると、自動的にバックエンドのデータベース内のオブジェクトともデータ同期が行われ、リアルタイムで同じ値になります。
それだけでなく、ほかのデバイスで動作しているアプリケーション内の同じオブジェクトの値もリアルタイムで同じ値になります。いちいちバックエンドに書き込む命令や、読み出す命令をコーディングする必要はありません。分散して動作しているすべてのデバイス上のそれぞれのアプリケーション内のオブジェクト、そしてバックエンドのオブジェクトの値は、ネットワークがつながっている限りFirabaseによってつねに自動的に同期します。
Firebaseを利用することで、すべてのクライアントとバックエンドのデータがリアルタイムに同期する、いわゆるリアクティブプログラミングが実現するわけです。
しかもあるデバイスがオフライン状態になっても、そのデバイスでのデータ同期が止まるだけでアプリケーションの動作に影響はありません。オンライン状態になった時点でバックエンドとのデータ同期が自動的に行われます。
このようにFirebaseでは、アプリケーション開発者がデータ同期の方法やネットワークのオンライン、オフラインの状態を気にすることなく、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションの開発を可能にします。
GoogleはこのFirebaseを自社のクラウドプラットフォームに統合することで、Firebaseをこれまで以上にスケーラブルかつ強力なモバイルBaaSへと前進させていくとしています。
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