Fusion-ioがオールフラッシュストレージアレイ「ION Accelerator」とハイブリッドストレージアレイ「ioControl Hybrid Storage」発表。エンタープライズ市場で本格的に戦う姿勢を示す
サーバに内蔵する高速なフラッシュストレージ製品で知られるFusion-ioが、2つのフラッシュストレージアレイ製品を発表しました。
同社がこれまで提供してきたサーバサイドフラッシュ製品は、PCIe経由でサーバとフラッシュストレージを接続し従来のボトルネックを排除することで、これまでにない超高速なストレージを実現したものでした。
その高性能が評価されて同社の製品群はオンラインサービス系の企業を中心に大きな市場を作り上げましたが、ストレージアレイが普及するエンタープライズ市場へ十分に食い込めたとは言えない状況でした。
そのエンタープライズ市場では、ストレージアレイの大手ベンダであるEMCやNetAppが昨年、相次いでフラッシュストレージアレイ製品を発表。さらにIBM、Violin Memory、Pure Storage、ティントリといった企業もフラッシュストレージアレイ製品を投入しており、一気に製品の充実度が高まってきています。
Fusion-ioのフラッシュストレージアレイ新製品投入は、同社がこの激戦区に飛び込み、エンタープライズ市場で本格的に競合と戦う決心をしたことを示すものだといえます。タイミングとしては、手遅れになるぎりぎりだったかもしれません。
オールフラッシュストレージとハイブリッドストレージ
発表されたのは、オールフラッシュストレージアレイ「ION Accelerator」、そしてハイブリッドストレージアレイ「ioControl Hybrid Storage」の2つ。
オールフラッシュストレージアレイのION Acceleratorは、ioMemoryを最大10枚搭載し、最大32TBの容量を実現。InfiniBand、ファイバーチャネル、iSCSIのインターフェイスを備えたもので、とにかく性能志向のストレージアレイ。
ハイブリッドストレージアレイのioControl Hybrid Storageは、ハードディスクとフラッシュストレージを組み合わせ、最大で192TBのハードディスクおよび4800GBのフラッシュストレージの容量を実現。RAID6に対応し、ハードディスクのホットスワップもできます。
インターフェイスはiSCSI。ストレージアレイで高い性能と大容量を両立させたい用途に向いています。
ioControl Hybrid Storageの特徴は、管理ソフトウェア「ioControl 3.0」が搭載されており、ストレージのスループット、IOPS、レスポンスタイムなどの状況が分かるだけでなく、アプリケーションごとにプライオリティを設定することで処理速度のQoSを実現できる点にあります。
フラッシュストレージ市場もセグメント化へ
さまざまなベンダからフラッシュストレージ製品が登場してきたことにより、フラッシュストレージ市場は、コモディティ指向の安価な製品から、高信頼性指向で高価な製品、多機能を指向した製品などのセグメントに分かれてきています。
例えばPure StorageやEMCのXtremeIOなどはコモディティ化したSSDとx86サーバを組み合わせたうえでソフトウェアによって付加価値を実現しようとしている一方、Violin MemoryやIBM FlashSystemなどはチップレベルから開発することで高信頼性や高性能を実現しようとしています。
これからのフラッシュストレージは、媒体としてフラッシュメモリを利用しつつ、価格や機能、信頼性、性能などのどこで付加価値を作り込むかがベンダごと、製品ごとに問われているわけです。
いちはやくサーバサイドフラッシュによる高性能でフラッシュストレージ市場を切り開いてきた一方で、今回、他社に遅れてフラッシュストレージアレイに参入してきたFusion-ioがどこに付加価値の重心を置くのかは、今後少しずつ明確になっていくことでしょう。
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