「Fusion-ioは汎用ストレージのベンダになるつもりはない」、転換期を迎えたFusion-io。次の一手を聞く
サーバサイドフラッシュストレージ市場をほぼ単独で切り開き、ストレージ市場で独自の存在感を示してきたFusion-io。昨年CEOが交代し、今年はフルフラッシュの共有ストレージアレイ製品の展開を開始。競合他社もサーバサイドフラッシュ製品を充実させてくるなど、転換期を迎えようとしています。
同社エグゼクティブバイスプレジデントのIan Whiting氏に、今後の製品展開、会社の方向性について聞きました。
イノベーション、パートナー重視、グローバル展開にフォーカス
──── 昨年、創業者の一人だったCEOが退任し、新CEOが着任しました。会社としてはどのような変化がありましたか?
Whiting氏 Fusion-ioはシリコンバレーで成功してきた企業の1つで、スタートアップとして成長にフォーカスしてきました。しかし、さらに大きく成長する上で必要な環境を整えようとしています。新CEOの下でさらに成長するために、次の3つの分野にフォーカスしています。
第一は、何をおいてもテクノロジー、イノベーションへの注力です。第二はエンドユーザーへのフォーカスから、パートナーを重視したマーケティングと販売を進めていきます。パートナーとしてサーバベンダだけでなく、マイクロソフトやVMware、SAP、OracleのようなソフトウェアベンダやMySQLなどのコミュニティも重視していきます。
第三はグローバル展開です。起業当初は多くの企業同様に私たちも米国市場を重視していましたが、さらなる成長の機会をグローバルに求めていきます。
──── 今年2月に共有ストレージアレイの「ION Accelerator」を発表し、共有ストレージの市場へ踏み込んだ理由は?
Whiting氏 私たちは自分自身を、例えばEMCのような従来のストレージベンダとは違うものだと考えていますし、汎用ストレージのベンダになるつもりではありません。
私たちは速いストレージを作ろうとしているのではなく、アプリケーションを速くすることにフォーカスした、アプリケーションのレイヤに近いベンダです。
ION Acceleratorは汎用のオールフラッシュストレージアレイではなく、例えばすでにクラスタリング、レプリケーションなどに対応しているようなアプリケーションにフォーカスしたものです。
数週間後に発表する第三世代製品でさらに差を広げる
──── 競合他社もフラッシュ製品を充実させてきています。技術的優位性は今後も保てますか?
Whiting氏 私たちはエンタープライズの領域で何年も開発を続けてきています。私たちの製品における性能と信頼性、耐久性は非常に競争力のあるものです。そして数週間後に発表する第三世代の製品では、さらに競合との距離が広がるものと思っています。
──── 重視するアプリケーションの分野は?
Whiting氏 SQL Serverなどのデータベースや(VMwareの)VSAN、SAPなどのメインストリームとなるアプリケーション。そしてもう1つはAPIをオープンにして、よりフラッシュストレージを活用してもらうことです。これによってもっとタイトなインテグレーションを実現することが差別化要因になると考えています。
ストレージの性能はもちろん重要ですが、インテグレーションはもっと重要だと考えています。
Fusion-ioにとって第一章は終わり、第二章が始まっています。第二章では、イノベーションは引き続き重要ですが、パートナー戦略や国際化といった新しい展開が始まっています。これらによってさらなる成功と予測可能な成長がはじまろうとしているのです。
あわせて読みたい
オープンソースのPaaS基盤「OpenShift Enterprise 2.1」リリース。PaaS自体に加えミドルウェアもRed Hatがサポートへ
≪前の記事
OpenStack Foundation、対応製品などを集めた「OpenStack Marketplace」を開始