Facebook、オープンハードなスイッチ「Wedge」と、対応Linux OS「FBOSS」を発表
Facebookが2011年に発足させた「Open Compute Project」は、最新のデータセンターを構築するため、サーバの筐体やマザーボード、ラック、空調などのさまざまな技術をオープンにしてきました。
Facebookが6月18日付けのブログ「Introducing “Wedge” and “FBOSS,” the next steps toward a disaggregated network」で公開した「Wedge」と「FBOSS」は、イーサネットスイッチのハードウェアとソフトウェアをオープンにし、Open Compute Projectをさらに推し進めるものになります。
オープンなモジュール構造のスイッチ「Wedge」
従来のネットワーク機器は、ネットワークベンダが独自に専用チップを開発し、それをベンダが独自に開発した基板に乗せ、独自の筐体に詰め込んで、独自の制御ソフトウェアを走らせていました。
しかし最近になって、いわゆる「マーチャントシリコン」と呼ばれる市販のネットワーク機器用チップが特にイーサネットスイッチの領域で利用される例が増えてきています。例えるなら、現在のコモディティサーバが、インテルやAMDなどからプロセッサやチップセットを調達して構築できるのと同様に、ネットワーク機器用のプロセッサもチップメーカーから調達されるようになってきたのです。(参考:ネットワーク機器の劇的な低価格化は進むか。マーチャントシリコンとソフトウェアによる仮想化)
ネットワーク機器ベンダが販売しているイーサネットスイッチには、すでにマーチャントシリコンを採用した製品が数多くあります。
Facebookが発表した「Wedge」は、こうした調達可能なネットワークのチップ(40Gb switching ASIC)と、それを制御するx86ベースのマイクロサーバを、Open Computeで公開されている「Group Hug」アーキテクチャ接続することで構築されるトップ・オブ・ラック用のイーサネットスイッチです。
つまりこのスイッチは、通常のx86サーバと同じようにLinux OSを実行できます。この利点をFacebookでは次のように説明しています。
By using a real server module in the switch, we're able to bring switches into our distributed fleet management systems and provision them with our standard Linux-based operating environment. This enables us to deploy, monitor, and control these systems alongside our servers and storage — which in turn allows our engineers to focus more on bringing new capabilities to our network and less on managing the existing systems.
本物のサーバをスイッチに持ち込むことで、スイッチに対して大規模分散管理システムを適用できるようになり、標準的なLinuxベースのOSでプロビジョニングできるようになる。
これはつまり、モニタリングや制御をサーバやストレージと一緒に行えるということであり、つまりネットワークに新機能を組み込めるようになるとともに、既存のシステムとして管理の手間を削減できる。
FBOSSによってインフラソフトウェアエンジニアがネットワークエンジニアになれる
Wedgeと合わせて発表された「FBOSS」は、Wedge用に開発されたLinuxベースのOSです。そしてLinuxからはスイッチング用のASICの操作が抽象化されている、とのこと。
We also added a Thrift-based abstraction layer on top of the switch ASIC APIs, which will enable our engineers to treat “Wedge” like any other service in Facebook. With “FBOSS,” all our infrastructure software engineers instantly become network engineers.
Thriftベースの抽象化レイヤをスイッチASIC APIのレイヤに追加した。これによってエンジニアは「Wedge」をFacebookのほかのサービスと同じように扱うことができる。FBOSSによって、インフラソフトウェアのエンジニア全員がそのままネットワークエンジニアになれるのだ。
WedgeとFBOSSは現在、Facebook社内でテストをしている段階で、その後Open Compute Projectに提供される予定です。
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