Docker社がマルチコンテナ構成ツール「Fig」を採用。開発した社員2名のOrchardを買収
Linuxコンテナの実装の1つとして知られるDocker Engineは、Docker Engine上に構築したアプリケーション環境をノートPCから仮想化されたサーバやクラウドまで、どこでも同じように再現できる軽量なポータビリティが大きな特長の1つです。
しかし多くのサーバアプリケションでは、Webサーバとデータベースサーバなど複数のアプリケーションが相互に依存しつつ連係するシステムとなっているのが現実です。Dockerを用いてこうしたシステムを開発しテストし運用するには、複数のコンテナを1つのシステムとして依存関係やネットワーク構成なども含めて記述し、まとめて構成してくれるツールがあるとより便利なはずです。
Figはマルチコンテナの構成ツール
Docker社が買収を発表したOrchard社のツール「Fig」は、こうしたDocker環境におけるマルチコンテナの状態を記述し、構成してくれるツールです。
Fig, Orchard’s orchestration tool, is noteworthy in the ease with which a developer can compose and manage a multi-container Docker application. After defining the application’s containers and their dependencies in a simple configuration file, the developer can – with a single command – automatically start all the components of the application, including containers, network connections and storage dependencies.
Orchardのオーケストレーションツール「Fig」は、デベロッパーがマルチコンテナのDockerアプリケーションを組み合わせ、構成することをとても簡単にしてくれる。アプリケーションのコンテナとそれらの依存関係をシンプルなコンフィグレーションファイルで定義すると、あとはコマンド一発で、自動的にすべてのアプリケーションコンポーネントが構成される。コンテナも、ネットワークも、ストレージの依存関係もだ。
Docker Engineは、Dockerfileによって特定のコンテナの定義をする方法を提供してきました。それに加えて今後はFigが、複数のコンテナを1つのシステムとして定義するための正式な方法となりそうです。
Figがどのような構成ファイルを用いるかは「Fig」のサイトで簡潔に説明してあります。
ちなみにOrchard社はBen Firshman氏とAanand Prasad氏の2人だけの企業。しかも2人はロンドン在住だそうで、Docker社は買収と同時にロンドンオフィスを開設。2人はロンドンで引き続き働くようです(Docker本社はカリフォルニアにあります)。
Dockerのオーケストレーション機能とUIやMac/Windowsサポート強化も
Dockerのブログ「WELCOMING THE ORCHARD AND FIG TEAM」によると、Orchardの2人のエンジニアは引き続きFigのメンテナンスを続けると同時に、Dockerのオーケストレーション機能に取り組むとのこと。
First, in parallel to maintaining Fig, Ben and Aanand will help incorporate into Docker the orchestration interfaces that they wished were available when building their own tools on top of it.
Figのメンテナンスと並行して、BenとAanandはDockerのオーケストレーションインターフェイス組み込みにも協力する。これは彼らが自分たちのツールを開発するときにあればいいと願っていた機能だ。
また、新しく発足したDeveloper Experience groupをリードするとも説明されています
This means anything from fixing UI details, improving Mac and Windows support, providing more tutorials, integrating with other popular developer tools, or simply using Docker a lot and reporting problems.
これはつまり、UIの修正からMacやWindowsサポートの改善、さらなるチュートリアルの提供、人気のある他のツールとの統合、あるいはDockerの問題として報告されたものなどへの取り組みだ。
アプリケーションプラットフォームとして従来のOSともランタイムとも異なる新しいレイヤとして登場し、注目されているコンテナ技術は、Dockerを中心に目にもとまらないような速さで変化と進化をしているようです。
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