DevOpsをVisual Studioでサポートしていく方針。マイクロソフト開発ツール製品の責任者に聞いた
マイクロソフトは新バージョンとなるVisual Studio 2013において、DevOpsへの対応を強調し始めています。開発フェーズを支援するだけでなく、運用ログを取得し分析した内容を開発フェーズへとフィードバックする仕組みは、開発ツールだけでなくクライアントOS、サーバOS、クラウドを含む包括的なプラットフォームを展開しているマイクロソフトにとって得意な領域といえます。
マイクロソフトはDevOpsにどう取り組んでいくのか、来日した開発ツール製品群の責任者である米マイクロソフトコーポレーション コーポレートバイスプレジデント PJ Hough(PJヒュー)氏に聞きました。
DevOpsはロジカルな次のチャレンジ
─── マイクロソフトの社内でもDevOpsの実践を始めていると聞きました。
全てではありませんが多くのチームがこの数年間、アジャイル開発を実践してきました。例えばSkypeのチームはアジャイル開発を100%採用しています。大規模なサービスを提供しているチームではDevOpsも取り入れようとしています。例えばOffice.com、Bing、Office365などです。
しかしDevOpsのプラクティスを管理するスタンダードなツール群は社内にはこれまでありませんでした。新バージョンのVisual Studioは、マイクロソフト社内やお客様にDevOpsのベストプラクティスを提供するためのものでもあります。
─── DevOpsを実践する上でVisual Studioに欠けていた機能とは例えばどんなものでしょうか?
例えばVisual Studio Onlineで現在プレビュー中の「Application Insights」というサービスがあります。これは、アプリケーションのレイテンシや性能だけでなく、どの機能が使われているのか、なぜユーザーがうまく操作できていないのかといったことまでアプリケーションの変更なしに情報を取得できます。Webアプリケーションにもデスクトップアプリケーションにも対応していますが、特にモバイルアプリケーションでは重要になるでしょう。
こうした機能を今後さらに強化していきます。
─── マイクロソフトにとってDevOpsは戦略的に重要なものとして受け止められているのですか?
DevOpsは、エンジニアリングにおいてチームの生産性向上のためのブレイクスルーになると考えています。そして、マイクロソフトにとってDevOpsは戦略上とても重要です。
ソフトウェアの開発には以前からさまざまな動きがありました。スペックを固定して開発するウォーターフォール的なものから、スペックを固定せずにフィードバックを受け入れながら開発していくアジャイル開発、デベロッパーがテストコードを書くという流れもあります。
こうしてソフトウェアのライフサイクル全体を見て次なるチャレンジはどこなのかと考えると、DevOpsがロジカルな次のステップになるように思います。
─── いまInfrastructure as Codeのように、インフラもコード化していく傾向にあります。Visual Studioはこうした分野もこれからカバーしていくことになるのでしょうか?
コードとして何かを記述、表現するとき、そこにはVisual Studioの役割はあると考えています。それがMonaco(マイクロソフトが開発中にWebブラウザ版Visual Studio)になるのか、Azureポータルになるのかは分かりませんが、PowerShellのようなスクリプトで記述できるようになることを考えると、コードとしてインフラのコンフィグレーションを書くときにサポートする環境はVisual Studioになると思います。
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