Cloud FoundryによるPaaS「Pivotal Web Services」登場。価格面でAmazonと、機能面でIBMと競合へ
VMwareとEMCが合弁で立ち上げたソフトウェア企業Pivotalが、Cloud Foundryを基盤に用いたPaaS型クラウドサービス「Pivltal Web Services」をリリースしました。
Cloud FoundryはPaaS基盤のためのソフトウェアで、もともとはVMwareが開発しオープンソース化されたもの。現在はCloud Foundry Foundationが管理しており、IBMやHP、日本ではNTTコミュニケーションズや楽天などが採用しているなど、急速に注目度が高まっています(追記 記事執筆時点でCloud Foundry Foundationはまだ設立準備中で、Pivotal Softwareが管理していました。お詫びして訂正させていただきます)。
Cloud Foundryの特徴はオープンソースとして開発されているだけでなく、基本的にIaaSに依存しないアーキテクチャになっていることや、RubyやJava、PHP、Node.jsなどさまざまな言語、MySQLやPostgreSQL、MongoDB、Redisなどのさまざまなデータベースに対応するオープンなアーキテクチャを持つ点などがあります。
オープンソースのソフトウェアだけでなく、IBMのWebSphereやオラクルのWebLogic、SAP HANAなども対応、または対応作業が進んでおり、業務アプリケーションのプラットフォームとしても整備が進みつつあります。
価格面でAmazonに対抗
Pivotal Web ServicesはJavaのSpringフレームワーク、Ruby on Rails、 Node.jsなどに対応し、継続的インテグレーションのためのJenkinsなどもサービスとして提供。実運用時にはオートスケールなどに対応することで、開発者向けに開発から運用まで迅速なサイクルを実現するとしています。
また価格面ではAmazonクラウドのPaaS型サービスであるAWS Elastic Beanstalkとの比較表を掲載し、同様の機能と提供を3分の1以下の価格で提供するとアピールしています。
クラウド上のマーケットプレイスを提供
Pivltal Web Servicesでは、そのアーキテクチャを活かしてサードパーティのアプリをユーザーが購入し利用できる「Services Marketplace」も用意されています。さまざまなデータベース、メッセージキュー、負荷テストツール、モニタリングツール、メールサーバなどがすでに提供されており、今後増えていくとされています。
IBMのBlueMixやHPのHeliosと競合するか
新規にPaaS型クラウドサービスに参入し、開発者向けの環境を積極的に用意するところ、そしてサードパーティが参加可能なマーケットプレイスを提供するところなど、Pivotal Web Servicesは方向性も特徴もIBMが展開するBlueMixに非常に似ています。
同じCloud Foundryを基盤ソフトウェアに採用した時点で、機能的にほぼ同様のものとなるため、それを発展させる方向が似てくるのはある意味で避けることのできないものなのかもしれません。さらに数カ月後にはヒューレット・パッカードもHelionブランドでCloud Foundryを採用したクラウドサービスの提供を表明しています。
今後これらの企業は当然ながらそれぞれが差別化をはかるためにさまざまなアクションを起こしていくはずですが、同時にCloud Foundryという基盤ソフトウェアとそのコンセプトをいかに強化して、PaaSで先行するAWS BeanstalkやHerokuやForce.comやGoogle App Engineなどに対抗できるようなものにするかという点では協力していく関係でもあります。この複雑な関係も今後注目すべきポイントとなってくるでしょう。
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