「モバイルBaaSはPaaSに統合されていくだろう」、Cloud Foundryを製品化したPivotalのモバイルCTOに聞く
EMCとVMwareなどがCloud Foundryなどのミドルウェアの開発と製品化を行うために創設したPivtal Software。同社は今月、PaaS型ソフトウェア版「Cloud Foundry」の商用ディストリビューションである「Pivotal CF」をリリースしました。
そのPivotalでアジャイル開発などのコンサルティングを行うPivotal Labsのモバイル担当CTO Sundeep Madra氏は6月11日、東京で行われたPivotalジャパンのイベントで「モバイルBaaS(Backend as a Service)はPaaSに統合されていくと考えている」と発言しました。
Madra氏に、開発におけるクラウドの影響、そしてモバイルBaaSがPaaSへ統合されていく理由などについて聞きました。
クラウドの登場によってより短期で多くの開発が可能になった
──── クラウドの登場は、アジャイル開発にどのような影響を与えたとお考えですか?
Madra氏 より短いタイムフレームで、より多くの開発ができるになったという点がいちばん大きいと思います。クラウドを利用することで、それ以前にはできなかったスケールの開発が、より短時間で実現できるようになりました。
また、パブリッククラウドとオープンソースソフトウェアのおかげで、開発者はプライベートで使っている開発環境を仕事で使うことを求めるようになりました。例えば私はオープンソースソフトウェアの開発プロジェクトにプライベートで関わり、そこでクラウドや関連ツールを使っていますが、同じ環境を仕事でも使いたいと考えていますし、そういうことが実現できるようになりました。
──── モバイル開発のニーズが企業をアジャイル開発に注目させている要素ではないかと言われています。
Madra氏 アジャイル開発はカスタマーの要求に応えやすく、より高い品質を実現し、迅速に開発できるという特長があります。そしてモバイル開発においてはイノベーションのスピードが速い、デバイスの進化もOSのバージョンアップも、それまでのデスクトップPCなどよりずっと速いサイクルで変化します。これに対応するために従来の長期的なプロジェクト運用ではむずかしく、アジャイル開発が向いている理由であると思います。
モバイルBaaSはPaaSに統合されていく
──── モバイルBaaSはPaaSに統合されていくと説明されています。その理由を教えてください。
Madra氏 顧客はマルチベンダの環境でアプリケーションを作ることは望んでいないためです。いまはPaaS、モバイルBaaS、モバイルデバイス用のアプリケーションプラットフォームなど、さまざまなベンダがモバイルアプリケーションに関わっています。そうしたものはPaaSとして統合されていくと考えています。
──── Pivotal CFにもモバイルBaaSの機能を実装中とのことですが、どのような機能なのでしょうか?
Madra氏 いまのところ、Facebookが買収したParseやKinveyなどのモバイルBaaSと機能的な面でほぼ同じです。モバイルデバイスへのプッシュ通知、データベース、そしてJavaScriptから呼び出したバックエンドとのゲートウェイとなるAPIゲートウェイなどを提供する予定です。
モバイルBaaSの機能がPivotal CFに実装されることで、企業の中でプライベートクラウドとしてスケールしマネジメントできるという利点があります。
また、企業の中には規制によってパブリッククラウドを利用するのが難しかったり、セキュリティを心配するところもあります。ファイアウォールの内側でモバイルBaaSが運用できれば、そうした規制や心配の影響もなく、また社内のメッセージングシステムとの統合も容易です。
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