マイクロソフト、社内システムをAzureへ移行。ただし重要なデータはオンプレミスに残す予定
米マイクロソフトの情報システム部門内のSDOチーム(Service Deployment and Operations)は、3万5000以上のインスタンスから構成されている同社の情報システムをAzureとオンプレミスのハイブリッドクラウドへ移行させようとしています。その内容をブログ「Microsoft IT Introduction - Modernizing our Datacenter」で公開しています。
同社が公開した情報によると、同社は今年から2018年にかけて2つのデータセンターにあるシステムをAzureとオンプレミスを組み合わせたハイブリッドクラウドへと移行する計画です。赤い部分がレガシーの部分で、緑がオンプレミス、青がAzureです。
移行は下記のルールに従って行われるとのこと。
- Commodity workloads will move to software as a service (SaaS).(コモディティワークロードはSaaSへ移行)
- New development and modern applications will move to platform as a service (PaaS).(新規開発およびモダンアプリケーションはPaaSへ移行予定)
- Existing applications will move to infrastructure as a service (IaaS) or remain in a private cloud.(既存のアプリケーションはIaaSへ移行かプライベートクラウドへ残す)
このことを報じたThe Registerの記事「Microsoft: Azure isn't ready for biz-critical apps … yet • The Register」(マイクロソフト:Azureはまだビジネス上のクリティカルなアプリケーション対応ではないらしい…いまのところは)では、本件に関連したマイクロソフトが公開したドキュメントの中で、経営上大事な情報はAzureへ移行しないと説明する部分に注目しています。マイクロソフトが公開したドキュメントから引用。
In addition, any applications or workloads that Microsoft IT considered high business impact, such as financial information, protected corporate information, or personal information, should be among the last to be migrated.
それに加え、マイクロソフトの情報部門が経営に大きな影響を与えると考えているアプリケーションもしくはワークロード、例えば経理情報、企業の機密情報あるいは個人情報などはもっともマイグレートしたくないもとされる。
前述の移行を示したグラフの緑色の部分が、おそらくこのオンプレミスに残す部分なのでしょう。
マイクロソフトはWindows Serverなどのオンプレミス用のOS、Microsoft Azure、そしてサードパーティがWindows Serverなどを用いて構築するWindows対応のクラウドの3つを揃えて「Cloud OSビジョン」とし、ユーザーがオンプレミス、マイクロソフトのクラウド、サードパーティのクラウドのどれを選択したとしても、マイクロソフトテクノロジーによって統一されたクラウド環境を提供しようとしています。
オンプレミスとAzureを組み合わせたハイブリッドクラウドへの移行は、このCloud OSビジョンに忠実な一方、現時点ではマイクロソフトのシステム部門がクリティカルなシステムはAzureへ移行せずオンプレミスに残すという判断をする、というのは興味深いものだと思わせられます。