Amazonクラウドの売り上げ成長率が鈍化、マイクロソフトとIBMが激しく追い上げる一方、Googleも成長率を下げる。米シナジーリサーチ 2014年第2四半期
Googleがクラウド市場でAmazonクラウドへの対抗意識をあらわにした値下げを発表したのが今年の3月。Amazonクラウドも翌日には対応した値下げを発表しました。
それ以来、クラウド市場には少しずつ変化が起きています。1つ前の記事で紹介した米Rackspaceのマネージドクラウドへの転身もそうでしたが、値下げ後の第2四半期についてクラウドベンダが発表した売り上げを分析した米シナジーグループの調査レポート「Microsoft and IBM Chase Amazon while Google Falls Off the Pace」では、値下げを先導したGoogleとAmazonクラウドの売り上げ成長率に明確な変化が起きています。ただし、マイクロソフトもこの第2四半期後半から値下げに追随しているため、この次の四半期の結果も気になります。
米シナジーリサーチグループに許可を得て、同社が公開した調査レポートの翻訳を掲載します。
Amazonを追うマイクロソフトとIBM、ペースを落とすGoogle
シナジーリサーチグループによる第2四半期のデータは、クラウドインフラストラクチャーのサービスにおいてマイクロソフトとIBMが明らかに成長のリーダーであることを示した。
AWSは引き続きこの市場のトップを走っているが、続く4社の合計よりも大きくはなくなった。AWSは厳しい競争に直面し、クラウド売り上げの面でこれまで同様の成長を見せなくなり、過去1年間で49%へと成長率を落とした。と同時にGoogleも高い成長率を維持できなかった。
主要なクラウドベンダが発表した第2四半期の結果を基に、シナジーグループがこの四半期のクラウドインフラストラクチャサービス(IaaS、PaaS、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドを含む)の売り上げを分析したところ、全体で37億ドルに達し、12カ月の想定では130億ドルを超えることになった。
マーケット全体の成長率は45%を超え、過去4四半期ではマイクロソフトとIBMがシェアを伸ばし、AWSとGoogleはそれほどシェアに変動はなかった。
AWSの四半期売り上げは10億ドルを超え、そのほとんどはクラウドインフラストラクチャサービスからのものだ。IBMとマイクロソフトも四半期の売り上げは約10億ドルとしているが、両社の売り上げの多くはソフトウェア/SaaS、クラウド関連のハードウェア製品、もしくは関連のプロフェッショナルサービスやサポートサービスからだと見ている。
シナジーリサーチグループのチーフアナリストJohn Dinsdaleは、「AWSもついに厳しい競争に直面するようになったといっていいだろう」と発言。「この四半期まで、AWSは競合4社を会わせたよりも巨大だと言えたが、少なくとも4社のうち1社はそこからはみ出すことになった。AWSはいまでも恐るべき市場のリーダーであるが、マイクロソフトはIaaSとPaaSの領域で大きく飛躍しようとしており、IBMはプライベートクラウドとハイブリッドクラウドのインフラサービスの領域で明確なリーダーシップを得ようとしている」
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