この1年の優れたIT系書籍はどれか? 「Jolt Awards: The Best Books」2014年版が発表される
デベロッパー向けに情報発信をしている米国の「Dr. Dobb's Journal」が毎年優れた書籍を選出する「Jolt Jolt Awards: The Best Books」の2014年度版(2013年7月1日から2014年6月30日までの書籍)が発表されました。
今年選出されたラインナップを見てみると、JavaScriptのビルドシステムのGruntの解説本、Internet of Things関連、セキュリティを設計段階から組み込むための本、シングルページWebアプリケーションの解説、C++言語入門、そしてPythonの解説本の6冊。GruntやIoT、シングルWebページなどが並ぶところが、最近のトレンドを反映しているように思います。
ちなみに、2冊目の「Rethinking the Internet of Things: A Scalable Approach to Connecting Everything」はこの記事を書いている時点でKindle版が無料で公開されています。また、3冊目の「Single Page Web Applications: JavaScript End-To-End」は日本語版の書籍「シングルページWebアプリケーション」が出ています。
以下では、Jolt Jolt Awards: The Best Booksに選出された6冊について、Amazon.comに掲載されている情報を基にざっくりと中身を紹介しました。
Jolt Awards: The Best Booksに選出された6冊
本書ではGruntの基本的なタスクの作成から始まり、エラーハンドリング、そしてNode.jsで基本的なJavaScriptを実行する簡単なコンフィグレーションでロギングを行ってみる。続いて、ファイルのリード、ライト、コピー、デリートといった操作、ファイルを連結するといったタスクを作ることで、いかにGruntが強力なマルチタスクの機能を備えているかを学ぶ。
こうした基本を押さえたら、AngularJSとCoffeeScriptのシンプルなアプリケーションをGruntでビルドし、スクリプト処理を見てみよう。
インターネット上でつながる多くのセンサーやアクチュエイターは自律的にネットワーク化され、人間の介入なしに相互に情報交換を行う。この機械相互のコミュニケーションは通常とても簡素だ。ほとんどのセンサーやアクチュエイターは、ここで“chirps”と呼ぶような小さな情報のやりとりをする。そして現在のネットワークプロトコルスタックは、こうしたデバイスの広がりに対して非効率で不要であり、TCO(総所有コスト)の増大につながっている。
これは変えなければならず、Internet of Thingsのアーキテクチャはエッジの部分においてよりシンプルなプロトコルとして進化しなければならない。
著者のアダム・ショスタックはマイクロソフトでセキュリティ開発ライフサイクル・スレットモデリングの責任者であり、世界でも一握りしかいないスレットモデリングの専門家だ。本書では実際に使えるアドバイスを提供しつつ、システムやソフトウェア、サービスに対していかに最初から優れたセキュリティを組み込むのかについて詳細を解説する。
読者はさまざまなスレットモデリングのアプローチや、脅威に対しての設計をどのようにテストするのか、そしてマイクロソフトや他の大手企業で有効とされてきた脅威に対する効果的な対処法などを学ぶことができる。
シングルページWebアプリケーション(SPA)は、最近注目を集めているWebアプリケーションのアーキテクチャだ。SPAは、ユーザがアプリケーションを使っている間、Webページ全体をロードすることがなく、レスポンスが高速でUI/UXに優れているという利点を持っている。
本書では、クライアントでJavaScriptを使ったSPAを採用するだけでなく、WebサーバにNode.js、データベースにMongoDBを使うことで、フロントエンドからバックエンドまでエンドツーエンドのJavaScript SPAの仕組みと開発方法について詳しく解説する。(日本語版は「シングルページWebアプリケーション」)
本書はオブジェクト指向プログラミングとジェネリックプログラミングを含む全般的なプログラミングの入門書だ。そしてまたC++言語という現実の世界でもっとも広く使われている言語の入門書でもある。モダンなC++プログラミングテクニックを一から解説し、C++標準ライブラリの紹介やC++11やC++14の機能によってプログラミングの作業をシンプルにする方法も紹介する。
本書はこれまでプログラミングの経験のない人にも分かるように書かれており、大学一年生を対象に広く使われ、その内容が検証されてきたものだ。と同時に自習書としても使われてきた。
著者のマーク・スマーフィールドは本書で4つのテーマ、エレガントにコーディングするためのデザインパターン、並列処理とコンパイル済みPython(Cython)による高速処理、ハイレベルネットワーキング、そしてグラフィクスにフォーカスする。また、すでに実績のあるPythonで有用なデザインパターンを示し、それらの良さをエキスパートのコードとともに示しつつ、なぜいくつかのオブジェクト指向的デザインがPythonに不適切であるかも解説する。さらに、マルチコアプロセッサの恩恵を十分に受けられないと言ったいくつかのPythonをめぐる迷信についても打破する。
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