[速報]マイクロソフト、Windows AzureのIaaS機能「Windows Azure Infrastructure Services」正式リリース。Amazonクラウド追撃、価格でも対抗を表明
マイクロソフトは、Windows Azureで仮想マシンや仮想ネットワークを利用できるIaaS型クラウドサービス「Windows Azure Infrastructure Services」を正式版として公開しました。
これまでWindows AzureはPaaS型クラウドサービスとして、あらかじめ用意されたプラットフォームの上でアプリケーションを実行する機能を提供してきました。今回のWindows Azure Infrastructure Servicesは、ひとことで言えばAmazonクラウドのようにWindows Azureで仮想マシンを自由に起動でき、任意のOSをインストールして利用できるようになる、というものです。マイクロソフトはこれによって本格的にAmazonクラウドサービスへの追撃を始めることになります。
Amazonクラウド追撃の姿勢は明確で、発表における価格面で「Amazon Web Servicesに対抗する」というコミットメントを宣言しています。
Customers have also told me that they don’t want to have to choose either a low price or good performance; they want a low price and good performance. That’s why today we are also announcing a commitment to match Amazon Web Services prices for commodity services such as compute, storage and bandwidth.
顧客は私たちに低価格か高性能か、どちらかを選びたくないと言っていました。低価格かつ高性能を望んでいるのです。 そこで私たちは、コンピュート、ストレージ、帯域幅といったコモディティサービスでAmazon Web Servicesの価格に対抗する、というコミットメントを発表します。
Windows Azure仮想マシンはHyper-Vベース
Windows Azure Infrastructure Servicesは、「Windows Azure仮想マシン」と「Windows Azure仮想ネットワーク」の2つのサービスからなります。
Windows Azure仮想マシンは、文字通りWindows Azure上で仮想マシンを提供するサービス。Hyper-Vをベースにしているため、オンプレミスのサーバのHyper-VのVHDイメージをそのままクラウドで実行できるため、クラウドとオンプレミスの連携が容易である点が特長です。
WindowsだけでなくLinuxのイメージファイルもあらかじめ用意されているため、LAMPスタックのアプリケーションもWindows Azureで展開できるようになりました。用意されているイメージはWindows Server 2012、Windows Server 2008 R2、SQL Server、BizTalk Server、SharePoint Server、Ubuntu、CentOS、SUSE Linuxなど。
用意されているインスタンスの大きさは、仮想コアを共有し768MBメモリのXSから、8コアを占有し14GBメモリを用意したXLまでの5種類。およびメモリを多く搭載した「メモリ集中型インスタンス」2種類。
Availability Setで可用性向上も
Amazonクラウドで可用性を高めるためのAvailability Zoneに似た機能として、Availability Set機能が提供されています。この機能を設定すると、複数のWindows Azure仮想マシンを、データセンターに物理障害が発生してもお互いに影響が及ばない領域(Fault Domain)に自動的に分散配置してくれるというものです。
複数のサーバにトラフィックを分散するロードバランサーもデフォルトで用意されており、簡単な設定で追加料金なしで利用できます。
また、これまでWindows Azureの中に仮想マシンを作る機能としてVMRoleがありましたが、VMRoleは永続的ストレージを備えていないのに対し、Windows Azure仮想マシンは最初から永続化ストレージを備えているのが最大の違いです。
仮想ネットワークでクラウド内に独自ネットワークを
Windows Azure仮想ネットワークは、Windows Azureの中で独自のネットワーク領域を構成できる機能。社内ネットワークで使っているIPアドレスをそのままWindows Azureに持ち込むことができ、VPN機能で社内ネットワークとつなぐことができます。オンプレミスのデータセンターの延長としてWindows Azureを使うことが可能です。
Windows Azure仮想マシンのHyper-Vベースによるオンプレミスとの柔軟なシステムの移動とWindows Azure仮想ネットワークによるオンプレミスとクラウドのネットワーク的統合は、マイクロソフトにとってAmazonクラウド追撃の武器となることでしょう。
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