[速報]グーグル、WebKitをフォークして新しいレンダリングエンジン「Blink」を開発すると表明
グーグルは、これまでChrome/Chromiumのレンダリングエンジンとして採用してきたWebKitをフォークし、新しいレンダリングエンジンの「Blink」をオープンソースで開発すると今朝表明しました。
グーグルのDeveloper Relations Japan Blogに投稿された「Chromium プロジェクトの新しいレンダリングエンジン Blink のご紹介」で、なぜWebKitからフォークしてBlinkの開発を始めるのか、その理由が記されています。
Chromium は 他の WebKit ベースブラウザーと違い、マルチプロセス アーキテクチャを採用しているため、WebKit プロジェクトと Chromium プロジェクトはここ数年複雑化の一途を辿ってきました。これにより、全体的なイノベーションの速度が低下してきたことは否めません。そこで本日、WebKit ベースの新しいオープンソース レンダリング エンジン Blink をご紹介します。
複数のレンダリングエンジンがWebのエコシステムを健全化する
WebKitは、iOS、Androidの両方に採用されたことなどで、モバイルデバイス上では事実上の標準とみなされてきました。これがフォークしたことは、今後のWebに大きな影響を与える可能性があります。
そのことはグーグル自身も認識しており、次のように書いています。
新しいレンダリング エンジンの登場はウェブに多大な影響を与えるであろうことは明白です。それでもなお我々は、複数のレンダリング エンジンが存在することは — 複数のブラウザが存在することと同様に — イノベーションを促進し、長期的なオープン ウェブのエコシステムを健全化していけると確信しています。
グーグルにとってはWebの健全性が重要であり、そのために複数のレンダリングエンジンへと舵を切った、ということのようです。
Blinkのページをざっと見てもいまのところまだ大きな新機能はなさそうですが、例えば「Vendor Prefixes」の項目があり、これをなくしていくと説明されています。
Historically, browsers have relied on vendor prefixes (e.g., -webkit-feature) to ship experimental features to web developers. This approach can be harmful to compatibility because web content comes to rely upon these vendor-prefixed names.
歴史的経緯として、ブラウザはベンダープレフィクスに依存してきたが、これが互換性を傷つけてきたと説明した上で、今後は「about:flags」で実験的機能のオンオフをするようです。モジラはすでに似たようなポリシーを採用しているとのこと。
前述のブログでも、まずはアーキテクチャの改善とコードベースの簡素化を行うとのこと。
当初の作業の大部分は内部的なアーキテクチャの改善と、コードベースの簡素化に費やされることになります。例えば手始めに、7 つのビルドシステムを取り除き、450 万行からなる 7,000 以上のファイルを削除することができると考えています。
これでChromeはJavaScriptエンジンのV8、レンダリングエンジンのBlinkと、グーグルが主導するプロジェクトで固められたことになります。Webの進化のスピードはさらに速くなっていくのでしょうか。
(追記 9:48)オペラのBruce Lawson氏のブログによると、Chromium/WebKitベースへ移行すると表明していたオペラもBlinkを採用するとのこと。