フラッシュストレージ市場が日本でも本格化。Violin Memory、Pure Storageが相次いで国内参入

2013年1月23日

いま、ストレージに内蔵されるデバイスはディスクドライブからフラッシュメモリのような半導体へと進化の途上にあります。この大きな変化の中で、1月21日と22日、米国の新興フラッシュストレージベンダが相次いで日本への参入を発表しました。いずれも企業の基幹業務向け共有ストレージアレイを、フラッシュメモリベースで開発したものです。

両社ともに、その最大の競合はEMCやNetAppといった共有ストレージアレイ市場にそびえ立つ大手ストレージベンダであり、そこへフラッシュストレージという新しい技術で立ち向かうことになります。それぞれの製品と戦略がどのようなものか取材しました。

Violin Memoryは独自技術で性能と信頼性を追求

21日に日本への本格参入を発表したのはViolin Memory。同社の特徴はフラッシュメモリのチップコントローラ、メモリモジュール、RAIDコントローラ、ストレージ管理システムまであらゆるレイヤで独自開発を行い、徹底的な性能と信頼性の向上を実現した点です。

fig

「Violin 6600 Flash Memory Array」は、3Uのシャーシで17.6TBのストレージ容量を持ち、最大100万IOPS(4KB)と250マイクロ秒以下のレイテンシを提供します。接続は8Gb FCもしくは10GbE iSCSI、40GB Infiniband、PCIeのいずれか。

同社ソフトウェア担当CTOのジョナサン・ゴルディック氏は「エンタープライズ市場をメインにしているので、もっとも多いのがファイバーチャネルでの接続。ネットサービス系の企業ではiSCSIの利用が多く、超低遅延を望む顧客ではInfinibandを利用している」と説明します。

性能と信頼性のこだわりは徹底しており、フラッシュメモリの独自RAID構成によってメモリモジュールやRAIDコントローラなどのホットスワップが可能で、またメモリモジュールやRAIDコントローラが故障しても性能低下せずに運用が続けられるとのこと。

システムの一部に大きなアクセス負荷がかかるのを動的にバランスし、「すべてのメモリモジュールカード、すべてのフラッシュメモリチップ、すべてが均等に使われる。ホットスポット(極端に負荷の高いところ)が発生しないようになっている」(ソフトウェア担当CTO ジョナサン・ゴルディック氏)ことで、安定的に高い性能を発揮できるとのこと。

Pure Storageはデデュープと圧縮技術で低価格と性能を両立

22日に東京エレクトロンデバイスを国内代理店として国内市場参入を発表したのがPure Storageです。同社の特徴は、デディープ(重複排除)や圧縮技術をフラッシュストレージに内蔵することで、フラッシュストレージの性能を犠牲にせずに物理容量の数倍のデータ容量を実現。容量あたりの価格を従来のディスクストレージ並みにしたことです。

販売元の東京エレクトロンデバイスは価格について「圧縮後の容量でGB単価が1000円台」と説明しています。

fig

「Pure Storage FA-310」は、物理容量が11TBでデデュープと圧縮を合わせた圧縮率を5分の1とすると論理容量が55TB。20万IOPS(4KB R/Wが8:2)でレイテンシが1ms以下。接続は8Gb FCもしくは10GbE iSCSI。シンプロビジョニングやスナップショット、暗号化機能も備えています。

同社製品でもう1つユニークなのは、ストレージデバイスにサムソンと東芝のSSDを採用しているところです。前述のViolin MemoryやFusion-ioなどは、フラッシュデバイスの性能を発揮させるために独自のコントローラを開発し、「SSDとは違う」と明確に差別化要因としています。

それに対しPure Storageでは「フラッシュデバイス市場は成熟してきており、市場の製品を組み合わせたハードウェアソリューションでも私たちの技術によって十分な性能が出せることが分かった。私たちはその分の開発リソースを、フラッシュに最適化したデデュープやレプリケーション、スナップショットなどの専門性に当てている」(Pure Storage CEO スコット・ディッゼン(Scott Dietzen)氏)。

同じフラッシュストレージでもユニークさが表れている

両社ともにフォーカスする市場としてあげたのが、サーバ仮想化、デスクトップ仮想化、そしてデータ分析の3領域です。いずれも非常に高いストレージ性能が求められる領域であり、フラッシュストレージへの要望が高く、また導入後の顧客満足度が高いことも両社は共通していました。

しかし製品の特徴を見てみると、Violin Memoryがより高性能高信頼を目指すミッションクリティカルを指向するのに対し、Pure Storageは価格性能比と機能を高めることをアピールしています。フラッシュストレージとして高速で低消費電力低発熱高密度という共通の特徴を備えていながら、方向性の違いによって技術の面でも製品の面でもユニークさが表れているのは非常に興味深いところです。

次の記事では、両社へのインタビューをお送りする予定です。

あわせて読みたい

ストレージ ハードウェア SSD フラッシュストレージ




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本