書籍「The Datacenter as a Computer」の第二版がPDFで無料公開中
いまから4年前の2009年、まだクラウドという言葉も一般的ではなかった頃に、Googleのエンジニア達が書いた「The Datacenter as a Computer」(日本語版は「Googleクラウドの核心)という書籍が出版されました。
この書籍では、大量のサーバとそれを格納するデータセンター群を「Warehouse Scale Computer」という新しいタイプのコンピュータの単位として考え、それがGoogleによっていかに構築されているのか、技術的あるいは経済的な背景とその仕組みなどが詳しく解説されています。
当時はまだ大規模データセンターがどうなっているのか情報があまりなかったため、データセンターのコスト構造、Googleがサーバの電力効率に徹底的にこだわっていること、サーバの障害の統計値など、本書で明かされた内容は多くの驚きをもって迎えられました(Publickeyの書評記事「書籍「Googleクラウドの核心」、いずれクラウドでソフトウェアを開発する人に」
その第二版である「The Datacenter as a Computer: An Introduction to the Design of Warehouse-Scale Machines, Second edition」が7月からPDFで公開されており、無料でダウンロードできます(米Amazon.comを検索したのですが、書籍としてはまだ出版されていないようです米Amazon.comで書籍も発行されていました)。
表紙も目次もあり、全部で138ページ。カラーの図版やグラフも豊富に入っており、書籍をそのままPDFにしたもののようです。
少し長いのですが、「Notes for the Second Edition」から、第二版で追加された内容の説明を引用します。
After nearly four years of substantial academic and industrial developments in warehouse-scale computing, we are delighted to present our first major update to this lecture. The increased popularity of public clouds has made WSC software techniques relevant to a larger pool of programmers since our first edition. Therefore, we expanded Chapter 2 to reflect our better understanding of WSC software systems and the toolbox of software techniques for WSC programming. In Chapter 3, we added to our coverage of the evolving landscape of wimpy vs. brawny server trade-offs, and we now present an overview of WSC interconnects and storage systems that was promised but lacking in the original edition.
ほぼ4年もの期間Warehouse Scale Computing(WSC)について、実りある学術的かつ現実の開発を経て、喜ばしくもここに最初のメジャーアップデートをすることとなりました。パブリッククラウドの一般への浸透で、第一版の頃とくらべてより多くの大規模なプログラマ達によってWSCのソフトウェア技術が扱われるようになりました。
そこで、私たちはWSCプログラミングのために、WSCソフトウェアシステムやツールボックスへのより深い理解を第二章に反映し、拡張しました。第三章では、非力サーバvs強力サーバのトレードオフについて最新の知見についての情報を追加し、また初版にはなかったインターコネクトとストレージシステムについての概要も含めました。
本書の中身はもちろん英語ですが、引き続き最新の(しかしGoogleにとってはおそらくはすでに過去の技術となった)クラウド基盤の情報が解説されています。興味のある方はダウンロードして読まれてはいかがでしょうか。
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