インテル、ネットワーク機器開発用のハードウェアとソフトウェアを発表。ネットワーク機器もPCのようにコモディティ化するか
PCやPCサーバはインテルがCPUとチップセットなど中核となる部分を提供しており、PCベンダーはそれを利用することで容易に製品を構築することができます。
インテルはこのモデルをネットワーク機器の市場でも実現しようと、ネットワーク機器用の一連のチップセットやソフトウェアなどをリファレンスアーキテクチャ「Intel Open Networking Platform」(ONP)として発表しました。ネットワーク機器ベンダはこのリファレンスアーキテクチャを基に、PCベンダーがPCを組み立てるようにネットワーク機器をこれまでより容易に製品化できるようになります。
スイッチとサーバの2つのリファレンスアーキテクチャ
インテルが発表したリファレンスアーキテクチャは、トップ・オブ・ラック用のスイッチ「Intel ONP Switch Reference Design」と、ネットワーク機能に最適化されたサーバ「Intel ONP Server Reference Design」の2種類。
ONP Switchはスイッチ用ハードウェアをベースに、Wind River SystemsのリアルタイムOS(同社は2009年にインテルが買収)が稼働しており、レイヤ2、レイヤ3のスイッチング機能のほかに、OpenFlow、Open vSwitchなどのAPIを備え、さらにOEMベンダが機能拡張することも可能。
またロードバランスやファイアウォール機能などもスイッチ上のアプリケーションとして実行できると説明されています。
ONP Serverは、インテルのサーバハードウェアの上に同じくWind River SystemsのリアルタイムOSを搭載。パケット操作を高速に行えるData Plane Development Kit(DPDK)で、サーバ上の仮想マシンと高速にパケットをやりとりします。ハイパーバイザ上で仮想アプライアンスを実行することにより、ファイアウォール、VPN、侵入検知などの高度なネットワーク機能を備えたネットワーク機器となります。
ONPサーバ向けの仮想アプライアンスは、将来のプロセッサでも動作するとのこと。この辺の互換性保証はインテルらしいですね。
先行するBroadcomをインテルは追い越せるか?
インテルは2011年にスイッチのチップやソフトウェアのベンダでFulcrum Microsystemsを買収し、つい先週にはAtomベースの第二世代SoC(System on a Chip)も発表するなど、ネットワーク機器の市場に向けて着々と手を打ってきました。
今回発表された2種類のリファレンスアーキテクチャは、おそらくこのFulcrumとAtomのチップがそれぞれ基盤となっているのではないかと想像されます。
PCやサーバで成功したモデルをネットワーク機器の市場に持ち込もうとインテルが考えていたことは誰もが予想していたことです。ついに来たか、と市場関係者の誰もが思ったことでしょう。
しかし、こうしたネットワーク機器向けの市販のチップ、いわゆるマーチャントシリコン(Merchant Silicon)は、Broadcomがすでに市場で先行しており、シスコやジュニパー、IBM、HP、Force10(デル)、そしてAristaなどの製品で幅広く採用されています。ネットワーク市場でも、PCのようなリファレンスアーキテクチャのモデルはほぼ成功しつつあると言っていいでしょう。
問題はそのBraodcomにインテルがいつ追いつき、そして追い越すことができるのか? です。