インテル、ネットワーク機器開発用のハードウェアとソフトウェアを発表。ネットワーク機器もPCのようにコモディティ化するか

2013年4月19日

PCやPCサーバはインテルがCPUとチップセットなど中核となる部分を提供しており、PCベンダーはそれを利用することで容易に製品を構築することができます。

インテルはこのモデルをネットワーク機器の市場でも実現しようと、ネットワーク機器用の一連のチップセットやソフトウェアなどをリファレンスアーキテクチャ「Intel Open Networking Platform」(ONP)として発表しました。ネットワーク機器ベンダはこのリファレンスアーキテクチャを基に、PCベンダーがPCを組み立てるようにネットワーク機器をこれまでより容易に製品化できるようになります。

スイッチとサーバの2つのリファレンスアーキテクチャ

インテルが発表したリファレンスアーキテクチャは、トップ・オブ・ラック用のスイッチ「Intel ONP Switch Reference Design」と、ネットワーク機能に最適化されたサーバ「Intel ONP Server Reference Design」の2種類。

fig

ONP Switchはスイッチ用ハードウェアをベースに、Wind River SystemsのリアルタイムOS(同社は2009年にインテルが買収)が稼働しており、レイヤ2、レイヤ3のスイッチング機能のほかに、OpenFlow、Open vSwitchなどのAPIを備え、さらにOEMベンダが機能拡張することも可能。

またロードバランスやファイアウォール機能などもスイッチ上のアプリケーションとして実行できると説明されています。

fig

ONP Serverは、インテルのサーバハードウェアの上に同じくWind River SystemsのリアルタイムOSを搭載。パケット操作を高速に行えるData Plane Development Kit(DPDK)で、サーバ上の仮想マシンと高速にパケットをやりとりします。ハイパーバイザ上で仮想アプライアンスを実行することにより、ファイアウォール、VPN、侵入検知などの高度なネットワーク機能を備えたネットワーク機器となります。

fig

ONPサーバ向けの仮想アプライアンスは、将来のプロセッサでも動作するとのこと。この辺の互換性保証はインテルらしいですね。

先行するBroadcomをインテルは追い越せるか?

インテルは2011年にスイッチのチップやソフトウェアのベンダでFulcrum Microsystemsを買収し、つい先週にはAtomベースの第二世代SoC(System on a Chip)も発表するなど、ネットワーク機器の市場に向けて着々と手を打ってきました。

今回発表された2種類のリファレンスアーキテクチャは、おそらくこのFulcrumとAtomのチップがそれぞれ基盤となっているのではないかと想像されます。

PCやサーバで成功したモデルをネットワーク機器の市場に持ち込もうとインテルが考えていたことは誰もが予想していたことです。ついに来たか、と市場関係者の誰もが思ったことでしょう。

しかし、こうしたネットワーク機器向けの市販のチップ、いわゆるマーチャントシリコン(Merchant Silicon)は、Broadcomがすでに市場で先行しており、シスコやジュニパー、IBM、HP、Force10(デル)、そしてAristaなどの製品で幅広く採用されています。ネットワーク市場でも、PCのようなリファレンスアーキテクチャのモデルはほぼ成功しつつあると言っていいでしょう。

問題はそのBraodcomにインテルがいつ追いつき、そして追い越すことができるのか? です。

あわせて読みたい

ハードウェア Intel Software-Defined Network ネットワーク




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本