セールスフォース・ドットコム、クラウド基盤にOracle Exadataを採用へ。オラクルとセールスフォース・ドットコムが提携発表

2013年6月26日

セールスフォース・ドットコムとオラクルは、クラウドのプラットフォームからアプリケーションに渡る広範囲な提携を発表しました

Salesforce.com and Oracle Announce New Strategic Partnership

提携の内容は、セールスフォース・ドットコムがオラクルのプラットフォームを採用する一方、オラクルが自社アプリケーションにセールスフォース・ドットコムのサービスを統合するという2つの要素で構成されています。

クラウドプラットフォームに関しては、セールスフォース・ドットコムがOracle Linux、Exadata、Oracle Database、Javaミドルウェアプラットフォームを採用する計画。

Salesforce.com plans to standardize on the Oracle Linux operating system, Exadata engineered systems, the Oracle Database, and Java Middleware Platform.

アプリケーションの分野では、オラクルが人材管理アプリケーションのFusion HCM、およびFinancial CloudにSalesforce.comのサービスを統合する計画。

Oracle plans to integrate salesforce.com with Oracle’s Fusion HCM and Financial Cloud,

セールスフォース・ドットコムは創業当初から基盤のデータベースにOracle RACを採用してきましたが、サーバのハードウェアはデルを、ミドルウェアはResin Java Application Serverを採用していました。今後はクラウドの基盤としてオラクルのExadataとソフトウェア製品を採用することになります。

一方のオラクルは、同社が提供する統合業務アプリケーションにおいてセールスフォース・ドットコムが提供するSFAやCRMなどと競合してはいるものの、そこを乗り越えて人材管理や財務管理などのアプリケーションとセールスフォース・ドットコムのサービスを統合することになります。

セールスフォース・ドットコムはクラウドの基盤的技術をこれまで以上にオラクルに依存することになり、一方でクラウド市場で出遅れているオラクルは、クラウドでのサービス展開にセールスフォース・ドットコムの力を借りるように見える今回の提携。かなり緊密な内容に見えます。

エリソン氏とベニオフ氏、仲がいいのか悪いのか?

オラクルCEOのラリー・エリソン氏と、セールスフォース・ドットコム CEOのマーク・ベニオフ氏は不仲だと言われてきました。

その発端が2011年のOracle OpenWorldです。マーク・ベニオフ氏の基調講演が前日にオラクルによって勝手にキャンセルされ、ベニオフ氏は翌日レストランを急遽借り切って自前の講演を実施。そこで「偽のクラウドに気をつけろ!」と、オラクルのExadataを引き合いに出して攻撃。

しかしその日の夕方に行われたラリー・エリソン氏の基調講演では、データが他のユーザーと混ざってしまうし、伸縮性もなく、独自言語のような偽のクラウドはどっちだ! とエリソン氏が反撃に出ています。

両者の不仲はここから続いていると思われていましたが、二人はもともとオラクルの上司と部下。ベニオフ氏がオラクルを辞める際には、エリソン氏が「もしうまくいかなかったら帰ってくればいいよ」と、優しい声をかけていたほどの仲だったのです(マーク・ベニオフ著「クラウド誕生」p45)。

こうした関係があって、今回の緊密な提携へと発展したのではないでしょうか。

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Junichi Niino(jniino)
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