「ビッグデータ分析でスマホの接続率を改善」孫社長が明かす、ソフトバンクのビッグデータ活用法。Oracle CloudWorld Tokyo 2013
日本オラクルとしては国内で始めてクラウドにフォーカスしたプライベートイベントとなったOracle CLoudWorld Tokyo 2013。オラクルCEO ラリー・エリソン氏の基調講演に続いて登壇したのは、ソフトバンク代表取締役社長 孫正義氏。
スクリーンの中からエリソン氏が孫氏を紹介すると、しばらくインターネット越しに英語で対話をする2人。
エリソン氏「ソフトバンクについていつも思っているのは、アグレッシブに新しい技術を取り入れていくことだ」
孫氏「ボーダフォンジャパンを買収したとき、なぜメインフレームをまだ使っているのかと聞いたら、信頼性や実績があるなどと言われた。しかしオラクルがあるじゃないかと、なぜ使わないかと」
その後、孫氏によるオラクルのシステムを利用したビッグデータ事例の紹介が始まります。ダイジェストで紹介します。
通信ログのビッグデータを分析して接続率を改善
孫氏。ソフトバンクがExadataによってビッグデータをどう活用しているのか、紹介したいと思います。
ソフトバンクでは、スマートフォンから30分ごと、あるいは移動ごとに、つながるかチェックをするというログデータを、防災アプリから月間1.9億件も取得しています。ソフトバンクだけでなく、KDDI、ドコモのスマートフォンからもとっています。
このデータを分析して、地図情報、基地局情報、時間情報、建物の中ならお店の情報などをマッシュアップして分析。あと1本鉄塔を追加して作る、というときに、どこに作るべきか。どこに設備投資すべきかという判断に使っています。
その結果、接続率が改善しました。月間1.9億回、実際につないでみて、つながったかつながらなかったかを調査した結果です。
この結果は毎日出していて、僕自身も見ています。例えば、朝の時間帯でどの駅のどこで接続率がドコモさんに負けているのか。乗り降りの多い駅、大学、ショッピングモールなど、人の多いところなどを分析しています。
例えばゴルフ場やスキー場でドコモに負けているとすると、どこのゴルフ場なんだ、どこのスキー場なんだと。場所別、時間帯別などすべてのクロス集計ができます。
こうしたインテリジェンスを使って判断しているから、より少ない投資で効率的にできるのです。
ツイート分析、行動ターゲティングによる広告
ツイートの解析も行っています。8200万件の投稿を分析、こんなことをしているのは日本で私たちだけでしょう。全部解析しています。
自然言語処理によって、ポジティブなツイートかネガティブなツイートかを分析しています。プラチナバンド開始、iPhone 5発表、テザリング開始などごとに分析して反省したり、新たなアクティビティを始めたりと改善しています。
これからは日本の選挙もソーシャルネットを使わないと勝てない、という時代になります。自然言語で綴られたFacebookやTwitterの状況を解析し、選挙に役立てるのはもっとも科学的に選挙を戦う手法になっていくはずです。
私たちは、ソフトバンクに対するポジティブな反応が5割を超えているかどうか、デイリーで見ています。
続いて行動ターゲティング。Yahoo!の月間500億ページビューのユーザーの行動を全部記録して、お客様にどのように効果的に広告を出すか。広告のターゲティングをピンポイントで、例えばドコモのユーザーで女性で10代で、Galaxyを使っているユーザーだけにピンポイントで広告を出したい、といったこと。こんなこと他社ではやってません。
そろそろ乗り換えそうなユーザーにだけ広告を打つ。そうすることで少ない予算で効果的に広告が打てます。
だからソフトバンクは純増ナンバーワンなんです。
こうしたビッグデータの分析を、オラクルのシステムを使って行っていて、50以上のプロジェクトで稼働中です。
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