国内ではクラウド、BPMスイート、グリーンITなどが「幻滅期」、ビッグデータやモバイルは「過度な期待」のピーク、ガートナー国内版ハイプサイクル
テクノロジーを「黎明期」から「生産性の安定期」まで成熟度ごとに5つの期に分けてハイプ曲線上に並べることで、さまざまなテクノロジーの現状を一覧する「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2013年」がガートナーから発表されました。
「黎明期」にはSoftware-Defined Networkingやマルチサイト仮想化データセンターなどが並び、「『過度な期待』のピーク期」には3Dプリンティング、ビッグデータ、クラウドERPなどが並んでいます。
ビッグデータは過度な期待、クラウドは幻滅期だが冷静に
注目すべきいくつかのポイントは、ビッグデータが「『過度な期待』のピーク期」にあること、クラウドコンピューティングが「幻滅期」にあること、などでしょう。
ビッグデータについては、ガートナーは次のように説明しています。
一般に取り上げられるビッグ・データは、流通・小売りにおける消費者の行動や嗜好に関するものが多く、他業種では参考にならないという声が多いと同時に、個人情報の適正な取り扱いについても議論の余地がある状況です。このため、ビッグ・データは典型的な「過度な期待」のピーク期にあると評価しています。
クラウドについては幻滅期は決してネガティブではなく、冷静に受け止められてきている状態になってきたとのこと。
ユーザー企業であればクラウドでコスト削減が必ずできる、またプロバイダー企業であれば、クラウドで必ず儲かるといった「過度な期待」の時期が過ぎ、冷静な判断が行われるようになってきていることを意味します。多くの企業が引き続きクラウド・コンピューティングに期待していますが、議論と実践はより地に足の付いたものとなってきています。ここでは本物と偽物が区分されることになるため、クラウドを標榜する多くのプレーヤーは戦略の見直しが必要になっています。
エンタープライズ・ソーシャルは、漠然と導入したものの根付いていない点が幻滅期へ向かうところだと指摘。
エンタプライズ・ソーシャル・ソフトウェアは、「過度な期待」のピーク期を過ぎ、幻滅期に向かっています。これは、ピーク期に多くの企業が社内コミュニケーションの活性化のために漠然と導入してはみたものの、一部の参加者が趣味や遊びなど特定の話題に終始し、企業の改善活動のベースとなる「談論風発」ツールとして根付くまでには至っていないためです。「導入後は利用者任せ」ではうまくいかないのが、このソフトウェアの特徴です。
図では、クラウドが幻滅期を抜けて主流になるのは2~5年後、ビッグデータやエンタープライズソーシャルも同様に2~5年後とされています。幻滅期に存在感を失い消滅していく技術もある中で、これらは幻滅期を生き延びることでしょう。
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