企業内サーバのIPアドレスは全部そのままクラウドへ移行。SDN/OpenFlowを活用した新サービス、NTTコミュニケーションズが開始
企業内のシステムをクラウドへ移行する際、サーバやネットワーク機器のIPアドレスを変更することなくシームレスなマイグレーションを実現するサービス「オンプレミス接続サービス」をNTTコミュニケーションズが発表しました。
特長は、OpenFlowの技術を用いたレイヤ2の仮想ネットワークを構築すること。そして、短期間で済むクラウドへのマイグレーションに適した1日単位の課金であることなどです。接続先のクラウドは、NTTコミュニケーションズの「Biz ホスティング Enterprise Cloud」。
同社のクラウドと移行元の企業データセンターなどをインターネット経由で接続し、そこにレイヤ2の仮想ネットワークを構築。仮想ネットワークの制御は、OpenFlowを活用したSoftware-Defined Networkingの技術を用いて集中管理します。
クラウドへのマイグレーションに特化
クラウドへの移行時にIPアドレスを変えなければならない場合、移行中はシステムを止めてサーバやネットワーク機器のIPアドレスを付け替え、それに合わせてさまざまな設定を変更し、クラウド内であらためて動作テストなどをする必要があります。サーバが大量にあると移行にはそれだけ手間と時間がかかり、設定も複雑になります。
クラウドへの移行時にもIPアドレスの変更なくそのまま使えるとなれば、移行前の準備も簡単になり、一部のサーバをクラウドへ移行させていてもシステム稼働が容易になるなどのメリットがあります。
通常、こうしたレイヤ2での拠点間接続は広域イーサネットのサービスが選択肢となりますが、年単位などまとまった期間での契約を想定した広域イーサネットの利用は高価なものとなります。
今回発表された「オンプレミス接続サービス」は、企業データセンター側のグローバルIPアドレスが見えるところに、専用のソフトウェアをインストールしたアプライアンスを設置し、日時課金で利用できる手軽なもの。NTTコミュニケーションズの担当者は「特に大きなシステムをクラウドへ移行しようと検討している企業にニーズがある」と話しています。
旧NiciraとNTTグループの研究結果が商用サービスへ
仮想ネットワークの構築には、旧Nicira Network、現VMwareの製品が利用されています。NTTグループは以前から同社と共同で仮想ネットワークの研究を進めてきており、2011年8月にはクラウド間での仮想ネットワーク構築の実験などを行っていました。
こうした研究の成果が今回の商用サービスに結びついたことになります。同社は「ユーザーから利用料金を徴収する形でのSDN/OpenFlowの商用サービスは世界初ではないか」と話しています。
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