IBMもフルフラッシュストレージに参入。「IBM FlashSystem」を国内で提供開始へ

2013年4月12日

「この製品は、既存の製品の後継や改良ではない。まったく新しい製品だ」。日本IBM システム製品事業 ストレージ事業部長の波多野敦氏は、報道陣の前でこう胸を張ってフルフラッシュストレージの新製品「IBM FlashSystem」を紹介しました。

IBM FlashSystemは、1Uの筐体に最大で33テラバイト(RAID構成後で24テラバイト)のフラッシュメモリを搭載、8Gbpsファイバーチャネルもしくは40Gbps QDR InfiniBandで接続する共有ストレージアレイです。

fig

IBMは昨年、フラッシュストレージベンダのTexas Memory Systemsを買収しており、本製品は同社の製品の延長線上にあるものです。

チップレベルでRAID 5構成を実装、FPGAで高速化

本製品は、フラッシュストレージの特徴である高性能、高密度に加え、高信頼性についても独自の技術で構築していると説明。

fig

高速性の面では、コントローラに汎用CPUを使わずFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いているため、フラッシュメモリモジュールへのアクセスでワイヤレベルのスピードを実現。さらに書き込みが遅いフラッシュメモリの欠点を補うため、書き込み用バッファにキャパシタでバックアップされた小容量RAMを搭載して書き込み速度も改善。

信頼性を実現する技術としては、フラッシュメモリモジュール内でメモリチップ単位でRAID5を構成しており、チップレベルで障害が発生した場合、自動的にそのチップが排除されて残りのチップのみで稼働を続けるとのこと。

fig

高可用性モデルでは複数のフラッシュメモリモジュールに対してRAID 5構成も可能なため、より高い可用性を実現しています。

FlashSystem専門の部隊を社内に編成

波多野氏はFlashSystemの導入によって「データベースの性能が簡単に12倍にまで向上する」ことで、データベースのライセンスや保守費用が安価になる点などを強調。IBM社内にはFlashSystemを専門に扱う組織を編成し、販売強化をしていくとしています。

FlashSystemの価格は、最小構成で840万9600円(税別)から。最大構成で約5000万円程度とのこと。

国内市場のフルフラッシュストレージは、これまで新興ベンダの参入はあっても大手ベンダはほとんどなく、IBMが事実上最初の大手ベンダによる製品出荷になると思われます。ストレージ市場におけるフラッシュストレージは間違いなく成長分野であり、競合に先んじたIBMが専門部隊による販売強化に取り組むのもうなずけます。

あわせて読みたい

ストレージ ハードウェア IBM フラッシュストレージ




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本