日本IBM、DevOps推進で専門の支援部隊を設立。継続的デリバリツールの「UrbanCode」をリリース
日本IBMは、4月に米IBMが買収した継続的デリバリを実現するツール「UrbanCode」の国内販売を開始。あわせてDevOpsを推進するためにシステムインテグレータとの協業を強化、支援専門部隊を7月1日に発足したと発表しました。
UrbanCodeは、おもに統合テストの準備と実行やステージングの用意、本番環境へのデプロイなどを自動化する、いわゆる継続的デリバリを実現するツール。自動化のためのスクリプトがビジュアルに定義できるのが最大の特徴で、開発から運用への流れを見える化するとともに、開発者と運営者が情報を共有、協力しやすくなります。
「システムに対する要求の変化は速くなっており、ウォーターフォールでは間に合わなくなってきている。DevOpsを通じてイノベーションを実現したい」(日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏)
同社は、アジャイル開発などに対応したRational Team Concertなどの開発ツール群や、柔軟なインフラを実現するSmarterCloudやPureSystemsなどとUrbanCodeを組み合わせることで、開発からテスト、デプロイ、運用、計測などプロセス全体をカバーし、すばやいソフトウェアデリバリーとコストや品質、リスクの最適化を実現するとしています。
これら一連の製品が、開発と運用が協力してビジネスゴールを目指すカルチャーを実現するDevOpsの考えに沿うとして、DevOpsを積極的に推進していくことを明らかにしました。
日本のシステムインテグレータとDevOpsはかけ離れているが
日本IBMはUrbanCodeの出荷とあわせて、DevOps関連製品の販売推進を強化するためにシステムインテグレータとの協業を強化。支援専門部隊の創設7月1日付けで行ったと発表しました。
DevOpsは開発、テスト、デプロイ、運用、計測と、ソフトウェアのライフサイクル全般に関わる考え方であるため、開発から運用、インフラと全体をカバーする製品群を持つIBMがDevOpsを推進することは理にかなった戦略だといえるでしょう。
一方で、従来の日本のシステムインテグレータのビジネスモデルである、外注として開発を請け負い、それを下請けに出しつつ開発し、開発終了後に納品するという形態は、DevOpsの考え方とずいぶんかけ離れたところにあるといえます。このような状況で、果たしてIBMはシステムインテグレータとどのような協業を行うのでしょうか?
「たしかに、特に従来のシステム・オブ・レコード(記録のためのシステム)の開発案件などではまだそういった部分は残っていると思うが、アウトソーシング契約などを結んだシステムインテグレーションの案件などではDevOpsがやりやすくなっている例もある。まずはそうしたアウトソーサーを対象とした協業を考えていきたい」(日本IBM ソフトウェア事業 ラショナル事業部 理事 渡辺公成氏)。
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