インテル、無償のHTML5アプリ開発環境「Intel XDK」を公開。iOS/Android/Kindleなどクロスプラットフォーム対応
インテルは、先週4月10日から11日かけて中国北京で開催された「Intel Developers Forum Beijing 2013」(IDF Beijing 2013)において、クロスプラットフォームに対応したHTML5アプリケーションの開発ツール「Intel XDK」を発表しました。
Intel XDKはブラウザ上で動作するHTML5アプリケーション開発ツール(ChromeブラウザとJavaのインストールが必要)。HTML/CSS/JavaScriptで開発したアプリケーションを、PhoneGap機能でビルドし、iOS/Android/Kindle/Facebookなどのアプリケーションが開発できます。開発したアプリケーションは、各アプリストアで販売も可能。
これは2月にインテルが、jQuery互換のモバイル用ライブラリ「jqMobi」などの開発元であるAppMobiから買い取った一連の開発ツールがベースになっています。
開発したアプリケーションはエミュレーション機能により画面内で試すことができます。エミュレーションではデバイスの向き、接続が3GかWifiか接続なしか、場所はどこかなどを指定できるため、実機を様々な環境に持ち出すことなく動作確認が可能。
実際にインストールして試してみましたが、ファイル名などで日本語表示が欠けるなど、日本語の利用はあまり考慮されてないようでした。
なぜインテルがHTML5を推進するのか?
インテルはIDF Beijing 2013でHTML5へのコミットを強調していました。なぜプロセッサベンダのインテルが、HTML5のような上位レイヤにツールを買収してまでお金をかけてコミットするのでしょうか?
おそらくモバイルデバイス市場での遅れを取り戻すために、インテルはHTML5のようなプラットフォームに依存しないモバイルアプリケーションの開発環境を推進したいのだと思われます。
現在モバイル市場は実質的にアップルのiOSとグーグルのAndroidに二分され、またプロセッサはARMプロセッサが席巻しています。PC市場以上に急速に成長しているモバイル市場で後れをとったインテルは、AtomプロセッサでARMに挑みつつ、モバイルOSではTizenを推進する立場です。
インテルにとって、多くのアプリケーションデベロッパーがiOSやAndroidのネイティブアプリケーションの開発に親しむようになってしまえば、この状況を変えることは一層困難になります。それよりもHTML5のようなクロスプラットフォームに親しんでくれた方が、あとから新しいプロセッサ、新しいOSを普及させようとしたときにアプリケーションの移植が容易で、すぐにアプリケーションを揃えやすい、という利点があります。
だからこそインテルは、モバイルアプリケーションの開発者をプラットフォームから独立したHTML5に親しんでもらうべく、戦略的にHTML5にコミットしているのではないでしょうか。
IDF Beijing 2013
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