Excel方眼紙(ほうがんし)からWebアプリを生成する「Forguncy」(フォーガンシー)、グレープシティが発表。現場の担当者が業務アプリを作る、というトレンドは来るか?
Excelのセルを方眼紙のように使ってレイアウトされた画面をWebアプリケーションのフォームに変換することで、プログラミングをしなくとも業務アプリケーションが生成できる「Forguncy」(フォーガンシー)をグレープシティが発表しました。
国内の企業の多くで、帳票のレイアウトをExcel上で緻密に行った結果、まるで方眼紙のように細かいセルの上に結合や罫線のテクニックを駆使して作られたワークシートできあがってしまうことがあります。それらは揶揄の意味も込めて「Excel方眼紙」と呼ばれることがあります。
Forguncyは、そうしたExcelシートを読み込んで入力フィールドを指定すると、それがWebアプリケーションのひな形になる、というものです(画面は紹介動画より)。
この画像では、Internet ExplorerでExcel方眼紙のレイアウトが再現されています。
あとは入力フィールドとデータベースのフィールドを対応づければ、Webブラウザから入力でき、集計などが行える業務アプリケーションのできあがりです。
Forguncy自身にもExcelによく似たユーザーインターフェイスで画面を設計する機能があり、Excelワークシートを用いなくとも、Excelで帳票をデザインするようにWebアプリケーションのユーザーインターフェイスを設計できます。プレスリリースから引用します。
もちろんForguncyで新たに構築したアプリは、社内の既存システムで使用しているデータベースに接続できるため、売り上げデータを自分たちの業務フローに合わせて集計するアプリや、キャンペーンの対象者を顧客データから抽出するアプリを自分の手で簡単に構築できます。
Forguncyは2014年夏の発売を目指して現在開発中とのこと。
現場の担当者が自分のために業務アプリケーションをすぐ作れる
グレープシティではForguncyをユーザー自身がノンプログラミングで業務アプリケーションを構築するためのツールと位置づけています。プレスリリースから引用します。
Excelライクだから操作方法や設定手順が理解しやすく、プログラミングの知識は必要ありません。 自社で業務アプリをつくるなんて考えられないという人でも、Forguncyなら簡単に実現できます。自社の業務を誰よりも理解している担当者が自分でつくるからこそ、使いやすく本当に欲しい機能を備えたアプリをローコストで手に入れることができます。
このところ、プログラマではないビジネス担当者自身が業務アプリケーションを構築するためのツールの話題が増えています。これまでPublickeyで紹介したものを振り返ると、ジャスミンソフトのWagbyは、設定項目を指定するだけで業務アプリケーションを生成してくれます。
そのジャスミンソフトやインフォテリア、ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所、キヤノンソフトウェア、ケン・システムコンサルティングなど13社が集まって設立した「超高速開発コミュニティ」も、ユーザー自身が業務アプリケーションを超高速に開発することを志向しています。
アドバンスソフトウェアの「Excel to HTML」も、製品名の通り、Excelを元にHTML画面を生成し、そのままWebアプリケーションの要素に使えます。
また、サイボウズのクラウドサービス「Kintone」もユーザーによる業務アプリケーション構築を意識した機能を備えています。
ソフトウェアの進化などで、比較的単純な業務アプリケーションの構築であればどんどん簡単になってきています。複雑なデータベースの仕組みやWebサーバの設定、インフラの構成などがほとんど隠蔽できるようになってきたためです。
米調査会社ガートナーが2009年に発表した予測に、「2014年までに、新規ビジネスアプリケーションの少なくとも4分の1は『シチズン・デベロッパー』によって開発されるだろう」というものがありました。シチズン・デベロッパーとはプロフェッショナルではない開発者のことです。
2014年は、担当者自身が作る業務アプリケーション、というトレンドが盛り上がるのかもしれません。
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