DevOpsの大事なことは、だいたい原点に書いてある(前編)~ Developers Summit 2013 Summer
夏に行われるデブサミ、「Developers Summit 2013 Summer」が、8月1日に開催されました。テーマはエンタープライズに向けたDevOps。
僕は基調講演に登壇せよとご指名いただいきました。基調講演の役割とは、このあとに続くDevOps関連のさまざまなセッションの前座として、DevOpsの原点をもう一度振り返って観客のみなさんと共有した上で、それをエンタープライズに展開したときにどんな課題がありそうなのか、という問題提起をすることだと考えました。
問題意識を喚起した上で個別のセッションに参加することで、各セッションの意義がより高まるはずです。これを軸に講演の内容を構成しました。
そんなわけで、基調講演のダイジェストを紹介しましょう。
DevOpsの原点と広がり
Publickeyの新野と申します。Publickeyというブログを中心に、オンラインメディアや雑誌などへの寄稿などもしています。ちなみに、このセッションは写真撮影など自由にしていただいてかまいません。
日本でDevOpsが盛り上がってきています。今日のデブサミは1000人以上の申し込みがあったそうですし、来月は日本で2回目のDevOps Dayの開催が予定されると聞いています。
振り返ってみると、日本でDevOpsの話題が出始めたのは2010年頃、僕がPublickeyで最初にDevOpsの記事を書いたのが2011年でした。昨年、2012年にはDevOpsのイベントも日本で開催されました。
DevOpsの原点とされているのは、2009年にオライリーが行った、高速なWebサイトを作るにはどうしたらいいかということをテーマにした「Velocity」というイベントで行われたジョンさんとポールさんのセッション「10 deploys per day dev & ops cooperation at Flickr」でした。
このセッションでFlickrは1日に10回もデプロイしている、ということが話題となりましたが、これに刺激を受けたパトリックさんという方が、同じ2009年の10月にベルギーのヘントでDevOpsをテーマにした初めてのイベント、「Devopsdays Ghent 2009」を開催しました。
このDevOps Daysが翌年の2010年にはシドニー、マウンテンビュー、ハンブルグなどでも開催され、2011年にはメルボルン、バンガロールなど、そして2012年には東京にもやってきました。
こうしてDevOpsが広まっていくわけですが、最初のイベントを開催した2週間後に、パトリックさんは「開発と運用が協力するなんてばかげている」と相手にされなかった自分の考えが、ようやく浸透してきたとブログで振り返っています。
大事なことはだいたい書いてある
さて、こうして広まったDevOpsですが、そのDevOpsで大事なことは、原点となったセッションのスライド「10 deploys per day dev & ops cooperation at Flickr」にだいたい全部書いてあるんですね。このスライドは公開されているので、ぜひみなさんも見てみてください。
ここではその原点をもういちど振り返ってみたいのですが、全部でスライドが80枚くらいあるので全部見ていると時間が足りません。そこで、3枚にまとめてみました。
まず、これが表紙です。
1枚目。ビジネスは変化を求めてくる、ということです。競合よりもよい製品を、より速く作る、といったことを実現するには変化が必要となりますから当然ですよね。
逆にみると、変化が必要とされていないビジネスについてはDevOpsを考える必要がない、ともいえると思います。
その変化に対するリスクを低くするために、ツールとカルチャーを使うわけです。よく「動いているシステムには触るな」という格言がIT業界で使われますが、ビジネスの変化に対応するにはシステムも変化させていかなくてはならない。するとどうしてもそこにリスクが発生します。
そのリスクを低減するために、ツールとカルチャーを使う。どちらか片方だけではなく、両方を使うことがDevOpsのポイントだと思います。
で、これがカルチャーです。開発チーム(Dev)と運用チーム(Ops)は仲良くしましょうと。
そしてこれがツール。スライドではもっとたくさん並べられているのですが、ここでは大事な3つを抜き出しました。
1つ目は自動化されたインフラです。つまりクラウドや、ChefやPuppetによるインフラ自動化ツールなど。2つ目はソースコードのバージョン管理です。Gitなどですね。そして3つ目はビルドツールとデプロイツール。Jenkinsなどが該当すると思います。
カルチャーとこうしたツールを組み合わせることで、DevOpsでは変化に対するリスクを下げていくことを実現していくということです。
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