日本と世界のCIOにとって優先度の高いテクノロジーは「アナリティクス」「モバイル」「クラウド」。ガートナーの調査結果
日本国内のCIOは新商品やサービスの開発を重視し、世界のCIOは企業の成長を重視する一方、日本でも世界でもCIOが重視するテクノロジーはデータ分析、モバイル、クラウドと共通する。こんな調査結果を調査会社のガートナーが発表しました。
調査は、4000人以上の日本と海外のCIOを対象に、CIOが抱える次年度の課題に関して質問したもの。
ビジネス戦略では成長重視
2013年におけるCIOが重視するビジネス戦略では、国内のCIOが新商品やサービスの開発、コスト削減、新規顧客の獲得なのに対し、世界のCIOは企業の成長、オペレーションでの成果、コスト削減がトップ3になっています。
ガートナーはこの結果に関して次のようにコメントしています。
「企業コストの削減」は世界と日本で共通かつ継続的に重視されている戦略ですが、全体としては、コスト削減よりも成長戦略重視の傾向が見られます。ただし、世界のCIOは企業全体レベルの戦略に目が行きやすく、日本のCIOは「商品」「サービス」「顧客」等のより具体的な実現方法へ意欲が向かう姿勢があることが、回答傾向の差から垣間見えます。
コスト削減よりも商品開発や企業の成長が優先されている点は、企業の業績にとってよりITの重要度が高まっていることの表れであり、IT関係者にとってよい知らせだといえるでしょう。
重視するテクノロジーはデータ分析、モバイル、クラウドで共通
CIOが優先度の高いと考えるテクノロジーは、アナリティクスとビジネスインテリジェンス、つまりデータ分析と、モバイル、クラウドのトップ3は日本と世界で完全に一致しています。
ガートナーはこの点について次のようにコメントしています。
これらのテクノロジは、企業や消費者の活動のデジタル化が進む今の時代を象徴するものです。万国共通でCIOは、こうした先進テクノロジの活用を重視しています。
IT部門は縮小し、現場がITを活用していく傾向
ガートナーはこの調査結果に関して、「昨今のクラウド、アナリティクス、モビリティ、ソーシャルなどの先進テクノロジの到来は、企業に対して革新的なビジネスモデルを生み出す潜在機会を飛躍的に広げています」と、ITが効率化や自動化の道具ではなく、企業にとって新たなビジネスを生み出す大きな機会であると指摘します。
その一方で、その機会を自覚できず、変化に向き合おうとしないIT部門に、次のように警鐘を鳴らしています。
ここで変わらなければ、CIOとIT部門は既存のシステムやサービスを「Tending (手入れ)」するだけの役割にとどまることになってしまうでしょう。
言い換えれば、現行のITプラクティスやIT戦略はもはや将来の期待に応えられないということです。「静かなるIT危機」が進行しているといっても過言ではない状況、それが2013年です。
ガートナーは昨年、IT部門の予算はどんどん減っていき、一方でマーケティング部門のIT予算はIT部門の予算を上回るだろう、という予測も発表しています。IT部門が「ITによってビジネスの機会を拡大する」という期待に応えられなければ、IT部門は単なるシステムの保守部門に成り下がり、現場の部門がITを活用してビジネスを行う傾向が拡大するだろう、というのがこの警鐘に込められた意味なのでしょう。
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