データセンター自動化ツール「Enterprise Chef」発表。5ノードまで無料。シスコ/ジュニパー/アリスタらとの協業でネットワーク自動化、Windows対応強化など
データセンター自動化ツールとして知られるChefの開発元であるOpscodeは、Private Chef、Hosted Chefの2つの製品を1つのブランドにまとめた「Enterprise Chef」を発表しました。
これまで商用製品としてのChefは、オンプレミス版の「Private Chef」と、Opscodeによるサービス版の「Hosted Chef」の2つがありました。「Enterprise Chef」はこれらを1つのブランドにまとめ、ノード数に対応した価格体系にしたものです。
Enterprise Chefのソフトウェアは無料でダウンロードでき、5ノードまでは無料で利用可能。価格設定は20ノードまでが120ドル、50ノードまでが300ドルなどとなっています。オープンソース版のChefも引き続き提供されます。
企業向けの機能強化でネットワークOSなどとも統合
Enterprise Chefの発表と同時にOpscodeはネットワークベンダとの協業により、企業向けの機能強化を行っています。
具体的には、シスコのOne Platform Kit(onePK)とChefの統合により、ネットワーク機器のポート管理。アリスタネットワークスのOSであるEOSとChefとの統合により、物理ネットワークや仮想ネットワークの構成管理、ジュニパーネットワークスのJuniper OSとの統合により、ネットワーク機能の構成管理を実現すると説明されています。
また、マイクロソフトのPowerShell 4.0の「Desired State Configuration」機能もChefから利用可能になり、Windows対応も強化されています。
Chefはエンタープライズ市場で注目されるか
ChefはFacebookのデータセンター自動化ツールとして採用されるなど、大規模なデータセンターを抱えるオンラインサービス事業者やクラウド事業者などに注目されてきました。Opscodeはこうしたデータセンター自動化のニーズが今後、エンタープライズ向けの市場でも注目されるだろうと考え、これまでのPrivate Chef、Hosted Chefのブランドを「Enterprise Chef」へ統一するという大胆な戦略に出たのでしょう。
この分野で熱心なのはIBMです。IBMはアジャイル開発、DevOpsといった方法論やトレンドをエンタープライズ市場へ積極的に展開するべく製品やサービスをリリースしています。OpscodeはIBMともすでに協業を発表しており、IBMのソフトウェア製品にChefとの連携機能を組み込むことも始めています。
エンタープライズ市場が、プライベートクラウドであれパブリッククラウドであれ、クラウドが持つ技術をインフラへ採用する方向へ向かっていることは明らかです。とすれば当然ながら、Chefのような自動化ツールのニーズも高まってくるでしょう。
ただしそれを購入し、利用するのは誰なのでしょう。企業の情報部門なのか、あるいはインテグレータなのか、クラウドプロバイダーなのか、まだ分かりません。Enterprise Chefが直面する難しさは、おそらく技術的な面よりも、売り込み先がまだ明確に見えてこないというビジネス面ではないかと思います。
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