Atomプロセッサを採用した超高密度サーバ「HP Moonshot」発表。米ヒューレット・パッカード

2013年4月10日

クラウドへのニーズが高まり巨大化するデータセンターでは、その建築コストや消費電力の上昇などによる運用コストが課題になっており、できるだけ低コストで構築、運用できることが望まれています。そのためには床面積当たりできるだけ多くのサーバが詰め込めるよう、より小さく軽く、小さな発熱と消費電力のサーバが必要です。

こうした中で、データセンター向けのサーバは高密度化や電力当たりの効率化が追求されてきました。米ヒューレット・パッカードが発表した「HP Moonshot」は、それをもう一段推し進めるためにモバイル向けAtomプロセッサを採用したサーバです。

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モバイル向けプロセッサは設計当初から低消費電力で作動するように作られており、これまでのサーバ向けプロセッサを低消費電力化するよりも低発熱、低消費電力のサーバが実現できると考えられています。2011年に米ヒューレット・パッカードが、今回の製品につながるプロジェクトMoonshotを発表したときから、モバイル向けプロセッサの採用が予定されていました。

今回発表されたHP Moonshot Systemでは、4.3Uのシャーシに45台のホットスワップ可能なサーバとそれをつなぐネットワークが詰め込まれています。

プロジェクトMoonshotでは、本命のプロセッサとしてインテルのAtomではなくARMプロセッサの採用を考えているはずです。しかしARMはまだサーバ向け64ビットARMプロセッサを開発中で、登場予定は2014年。今回の「HP Moonshot」では、現時点での現実的な超高密度サーバのプロセッサとして、インテルのAtomが採用されたとみられます。

2014年には本命のARM 64ビットプロセッサも登場予定

超高密度サーバの実現には、単にプロセッサをAtomやARMに載せ替えるだけでなく、何百台もの大量のサーバをつなぐインターコネクトでも低消費電力、大容量で高速かつ低レイテンシなものが必要ですし、故障時のハードウェア的な対応、外部ストレージをどうするか、ブート方法をどうするかなどの課題があります。完成度の高い製品を実現するには、こうした課題を解決する必要があります。

また、小さな能力のサーバを大量に並べるときに仮想化レイヤは不要になるのか、ベアメタルのままクラウド向けサーバとして運用するとすればアプリケーションのデプロイをどうするか、といったソフトウェア側での検討も必要です。

今月リリースされたばかりのOpenStackの新バージョン「Grizzly」では、ベアメタル対応のデプロイ機能が新しく追加され、こうしたソフトウェア側での課題解決も進みつつあります。

超高密度サーバ市場には、AMDも昨年、超高密度サーバのベンチャー企業SeaMicroを買収し、ARMベースのサーバ用プロセッサ開発も正式表明しています。ARM 64ビットプロセッサが登場する来年には、多くの製品が市場を賑わしていることでしょう。

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