ARMサーバのパイオニア、Calxedaが事業停止に
ARMサーバの市場を開拓してきた米Calxedaが事実上の事業停止となったようです。
クラウドの登場によってより低消費電力かつ高密度なサーバが求められるようになり、それを実現するプロセッサの有力な候補としてARMプロセッサに注目が集まっています。CalxedaはそのARMサーバのパイオニアとして登場しました。
同社のARMサーバはヒューレット・パッカードがProject Moonshotで採用、来年には本命となる64ビット版ARMサーバが登場予定でしたが、現在同社のWebサイトのトップページには「Thank you from Calxeda」というタイトルで、事業が継続できなくなったことを知らせる文書が掲載されています。
一部を引用します。
Unfortunately, carrying the load of industry pioneer has exceeded our ability to continue to operate as we had envisioned, and so Calxeda has begun a restructuring process.
残念なことに、市場のパイオニアとして邁進した私たちが夢見てきた事業は継続できなくなりました。Calxedaはリストラクチャリングのプロセスを開始しました。
お別れのメッセージも含まれています。
In the meantime, we want to thank you personally for your interest and enthusiastic support. Its been an amazing journey.
あわせて、興味を持って熱く支持してくれたみなさんに個人的にもお礼を申し上げます。ここまでとても楽しい道のりでした。
来年には高密度サーバが本格的に盛り上がる見通し
AllthingsDの記事「Calxeda, Chipmaker That Sought to Bring ARM Chips to Servers, Has Shut Down」によると、資金調達の失敗したためにこのような事態に陥った原因のようです。
A source said the company had sought to raise a fourth round of capital but was unsuccessful. “They just ran out of runway,” as one source put it.
情報源によると、同社は4回目の資金調達を予定していたが、不調に終わった。“彼らはまさに走り尽くしてしまった(訳注:資金が尽きたことの比喩)”
資金が限られているベンチャーが、大量の資金を必要とするハードウェアビジネスに取り組むという難しさを乗り越えられなかった、ということなのかもしれません。
ARMサーバは、ヒューレット・パッカードが製品化の予定を明らかにしており、DELLも製品化に向けて開発を進めています。Seamicroを買収して高密度サーバに取り組んでいるAMDも参入しています。
来年2014にはサーバ向けとして本命とされる64ビットARMチップの供給も開始される見通しの一方、インテルはAtomプロセッサでARMへ対抗すべく積極的な展開を見せており、Calxedaが市場から退場したとはいえ、これから高密度サーバが本格的に盛り上がりを見せることになりそうです。
それだけに、このタイミングで事実上の事業停止に追い込まれてしまったCalxedaの無念さは大きいでしょう。
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