Amazonクラウド、デプロイの自動化ツール「AWS OpsWorks」公開。Chefのレシピ利用
クラウドのような大規模な基盤に対してアプリケーションを展開するには、自動化ツールが欠かせません。ChefやPuppetのような新しい運用自動化ツールが注目されているのはそのためです。
Amazonクラウドは、Chefを利用した運用自動化ツールの「AWS OpsWorks」を公開しました。Amazonクラウドのユーザーであれば追加料金はかからず、無料で利用可能です。
AWS OpsWorksを用いることで、大規模なクラウドアプリケーションを展開するのに必要なOSやミドルウェア、データベースサーバなどを多数のサーバにインストールし、ロードバランサーを設定し、アプリケーションをインストールするといった作業が自動化できます。大規模なアプリケーション展開でも、迅速に作業できるようになるでしょう。
OpsWorksの設定
AWS OpsWorksでは、まず管理単位となる「Stack」を定義し、どのリージョンを利用するか、OSの種類は何にするかなどを設定します。
そこに「Layer」として、データベースサーバやWebサーバ、PHPやRailsなどミドルウェアの設定、ロードバランサーの設定などを追加していきます。Ruby、PHP、Node.js、HAProxy、Memcached、MySQLなどよく使われるLayerはあらかじめ定義してあるので、選択するだけで追加できます。
その上に「Application」を展開し、最後に各Layerにインスタンスを割り当てていきます。インスタンス数は負荷に応じた変動をあらかじめ設定することが可能。4つのLayerに4つのインスタンスを割り当てた例。
それぞれの設定はChefのレシピになっており、ユーザー自身がレシピを記述することもできます。また標準で入っているレシピには稼働状況をAmazon CloudWatchにレポートする設定が入っており、そのまま運用監視に使えます。
AmazonクラウドはPaaSレイヤへと上がってきた
AmazonクラウドはAmazon EC2やAmazon S3などを中心とするIaaS型クラウドサービスの代表のように見られ、実際に多くのクラウド事業者もAmazon EC2やAmazon S3の価格を意識した宣伝や価格設定をしてきました。
しかしAmazon Redshiftや今回のAWS OpsWorksなど、Amazonクラウドが注力しているレイヤはIaaSからPaaSへと上がっていることは明らかです。しかもAmazon Redshiftの記事でデータに対して保存、処理、分析、蓄積というライフサイクル全体をカバーするサービスを実現したと書いたのと同じように、AWS OpsWorksを開始したことで、ミドルウェアやアプリケーションのデプロイからスケール、監視まで、開発以外の部分のライフサイクル全体を自動化できるサービスが揃いました。
Amazonクラウドがいま注力しているのはエンタープライズ市場の攻略です。今後さらにエンタープライズのニーズに沿うような上位レイヤのサービスが充実してくることでしょう。
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