Amazon S3互換分散オブジェクトストレージのBashoが国内本格展開。CEOとアーキテクトに聞く
分散キーバリューストアのRiakや、Amazon S3互換の分散オブジェクトストレージのRiak CSなどを提供するBashoが、国内での販売活動の本格展開を、代理店の東京エレクトロンデバイスとともに発表しました。東京エレクトロンデバイスはBashoへの投資も行い、国内で事実上の販売窓口となります。
同社CEOのGreg Collins氏とPrincipal ArchitectのAndy Gross氏に、同社製品の展開について聞きました。
Bashoはスタック全体をコントロールしている
──── オブジェクトストアとしてRiak CSが優れているところはどこですか?
グロス氏 私たちは(基盤となるキーバリュー型ストアからオブジェクトストレージに渡る)ソフトウェア全体のスタックをコントロールしており、スタック全体の最適化をはかれるメリットがあります。
また、堅牢性、フォールトトレランス性をコントロールでき、均一のインターフェイスを提供できる点です。
──── キーバリュー型ストアやオブジェクトストアはエンタープライズでどう使われていくと思われますか?
コリンズ氏 すでにFortune50の20%には弊社の製品が使われており、エンタープライズにも広がっていると思います。特にエンタープライズでは、これまでのリレーショナルデータベースより低コストでデータベースを実現したいというところにポイントがあり、NoSQLデータベースのキーバリュー型データストアの使用事例が増えてきています。
──── 今後Riakはどのように進化していくのでしょう?
グロス氏 機能の優先度はお客様の要求に基づいて行われますが、それでも進化の例をいくつかあげると、マルチデータセンターレプリカ、これは12月にRiak CSの機能として発表したものです。運用から見てロケーションの抽象化ができます。これはまだAmazon S3にはできない機能です。
また、パッケージソフトウェアとして私たちはニュートラルな立場で、OpenStack APIなどさまざまな将来のAPIに対応していくことができます。
キーバリューストアとしてのRiakは5年前からシンプルなAPIを保ってきましたが、よりリッチなデータが扱えるようになったり、値のセットやカウンタといった機能も性能を犠牲にせずに実現しました。これはCRDT(Consistent Replicated Data Type)という研究分野でフランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)やUCバークレイなどでの厳格な数学論の研究が基になっています。
──── オブジェクトストアのAPIは、事実上Amazon S3が標準になっています。この状況についてどう思われますか?
グロス氏 Riakではモジュール型のAPIを採用していて、新しいAPIもモジュールの組み合わせで簡単に追加できます。Amazon S3の機能もRiak DSの機能もミニマルですし、APIもミニマルなものですから、私が作るならもう少しRestfullなものにしたかもしれませんが、現状のAmazon S3のAPIは十分良い(Good Enough)なものだと思いますし、多くの人にとってもそうではないでしょうか。
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