直近の6カ月で2倍以上に成長したモバイルBaaSのParse。レイテンシの問題をAWSのストレージ機能で解決。AWS re:Invent 2013
モバイルBaaSを提供するParseは、4月にFacebookに買収されたてからの半年で、2倍以上のアプリケーションから利用されるようになりました。
その急速な成長を高いスケーラビリティで支えることができたのは、Amazonクラウドのフレキシビリティだったと、Amazon Web Servicesがラスベガスで開催したイベント「AWS re:Invent 2013」の基調講演で解説しました。
特に、急速に人気が高まるモバイルアプリケーションなどが登場するとバックエンドにかかる負荷が急速に高まり、サービスのレイテンシが跳ね上がる現象には手の打ちようがなかったのですが、これをストレージ性能を設定できるEBS Provisioned IOPSによって解消。「AWSは、私たちのビジネスに不可欠なものとなっている」(Parse Co-founder&CEO Ilya Sukhar氏)。
モバイルデベロッパーのためのプラットフォーム
Parse Co-founder&CEO Ilya Sukhar氏。
Parseについて、そしてParseを支えているAWSのフレキシビリティなどについて話をしよう。
Parseは2011年の前半にスタートした。当時はモバイルアプリケーションの構築はとても手間のかかるもので、Webスケールに対応するすべてのスタックを自分で作る必要があった。こんな感じだ。サーバサイドのAPI、セキュリティなどから、クライアントデバイスのiOSやAndroidやKindleへの対応などなど。
ここまでやって、ようやくその上にコードを書くことができる。私と共同創業者のもう1人は、こうした状況をとても不満に思っていた。そのため、モバイルデベロッパーのためのプラットフォームを作る、というのがParseの目指したものだ。
それはとてもシンプルなものだった。
Facebookに買収され、6カ月で2倍以上に
Parse Dataは私たちの最初のサービスで、iOSからでもAndroidからでもWindows Phoneからでも、数行のコードを書くだけで簡単にデータが保存できる。
Push Notificationはとても便利だけれども、Apple、Google、Amazonなどプラットフォームごとに仕組みもやり方も異なり、デベロッパーにとって面倒なものだ。
Parseはこれを数行のコードでシンプルに実現する。
私たちはこのParseを、AWSの1つだけのインスタンスからスタートした。そして2年半後のいま、AWSのフレキシビリティとパワーのおかげで、大きく成長することができた。
Facebookに買収される直前、Parseは7万5000のアプリをホストしていた。買収後わずか半年で2倍以上の18万まで増えたのだ。
数百万回ものPush Notificationと、数百万回ものAPIリクエストが毎月発生しており、ソーシャルゲームからエンタープライズまでさまざまなアプリケーションから利用されている。
EBS Provisioned IOPSでレイテンシのスパイクが解消
18万もの異なるアプリケーションなら、18万ものデータベースがあり、異なるスキーマ、異なるスケーラビリティなどへのさまざまな要件がある。
現在はこれだけ複雑になっている。AWSのフレキシビリティのおかげで多くの機能が追加でき、多くの要件に対応してきた。
スケーラビリティについて。私たちは当初と比べてスケーリングが95%も高速になり、例えば能力を2倍にするのに1~2時間かかっていたのが5分から10分程度で迅速に出来るようになった。
バックエンドを支えているのがMongoDBだ。私たちはこれをAmazon EBSのPIOPS(Provisioned IOPS。ストレージのIOPS性能を設定できる機能)上で走らせている。ユニークなユースケースではないだろうか。1秒当たり2TBのスループットだ。
これはPIOPS以前のレイテンシを示したグラフだ。人気のアプリケーションが登場したり人気の画像へ負荷が集中したりするとレイテンシが跳ね上がることがあった。これに対処するのは非常に難しかった。
しかしPIOPSが有効になってからは、平均的な性能も向上し、スパイクも消えた。しかも新しいマシンを投入したときに性能を発揮し始めるウォームアップタイムも80%削減できた。
わずか1つのインスタンスから始めたAWSは、私たちのビジネスに不可欠なものとなっている。
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