エリソン氏とベニオフ氏が共同で電話会見。批判合戦について「この業界でやってきた中で一番面白いと思っていることの1つがこれで終わるとは思わない」
オラクルCEOのラリー・エリソン氏と、セールスフォース・ドットコムCEOのマーク・ベニオフ氏。両者はクラウドに関して「偽のクラウドに気をつけろ!」「偽モノはそっちだ!」と舌戦を繰り広げてきました。
しかし先月末、オラクルとセールスフォース・ドットコムの両者は、クラウドにおいて緊密に連携するという戦略的提携を発表しました。
この提携に関する報道関係者向けの電話会見が、エリソン氏とベニオフ氏の両者が参加して行われました。行われたのは日本時間6月28日の午前5時。Publickeyも国際電話経由で会見に参加しました。
なごやかな雰囲気の電話会見
電話会見は冒頭からベニオフ氏とエリソン氏がそれぞれこの提携の意義を訴えつつ、お互いを称え合うというなごやかな雰囲気で始まりました(会見中、ベニオフ氏の声が明瞭に聞こえていたのに対し、エリソン氏の声はくぐもっていた感じだったので、おそらく両者は自分のオフィスにいて、セールスフォース・ドットコムがホストした電話会議にエリソン氏が電話でつなげていたのではないかと想像します)。
「今回、さらに12年間にわたりOracle Databaseを使用する素晴らしいパートナーシップ関係をあらためて確立できたことを非常に喜ばしく感じています。」(ベニオフ氏)
「 私たちはセールスフォース・ドットコム社と密に連携し、弊社のデータベースとJavaミドルウェアテクノロジーを常に向上させていき、セールスフォース・ドットコム社がクラウドユーザの皆様へ最高レベルのセキュリティと信頼性を提供することをサポートしていきたいと考えています。」(エリソン氏)
これで終わるとは思わない
会見の後半、質疑応答の中で、InformationWeekのフリッツ・ネルソン氏がこれまでの両者の批判合戦についてずばり次のように質問しています。「両社がパートナーシップを結んだことで、これまでのような面白い批判合戦も終わりを告げるのでしょうか」(セールスフォース・ドットコム日本法人の会見録から抜粋。以下同じ)。
この質問と同時に、ベニオフ氏とエリソン氏の両者から、電話を通して大きな笑いが起きているのが聞こえてきました。
ベニオフ氏はまずこう答えています「1986年にオラクルに入社して以来、ラリーとの付き合いは27年になると思いますが、この業界でやってきた中で一番面白いと思っていることの1つがこれで終わるとは思いません。
私たちはいつも共に気持ちよく働き、お互いに楽しんできました。 今回のパートナーシップ関係によって、過去何度かあった過度にヒートアップするようなことはなくなることを期待しています」(以下略)
続けてエリソン氏。「はい。マークも私も、これからもお互いに楽しんでいきながらも、共に連携してコラボレーションしていくという本筋を決して見失うことのないようにしていきます」
両者とも気心が知れた仲として批判し合ってきたし、これからもやっていくよ、ということのようです。
ちなみに会見中、ベニオフ氏が「この11月に開催する弊社のカンファレンス『Dreamforce』にはぜひラリーを招待したいと思います」と、エリソン氏を自社イベントに招待すると、「 『Dreamforce』へのご招待、ぜひ受けさせてもらいたいと思います。楽しみにしています。」とエリソン氏が応じています。二人が大きな舞台に並んで登場する日がきそうですね。
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