マイクロソフトはYammerからDevOpsを学ぼうとしている
Exchange Server OnLineやOffice 365など、マイクロソフトはパッケージソフトウェアとして開発した製品を、次々にオンラインサービスとしても並行して提供を始めています。そのオンラインサービスの開発について、マイクロソフトは先日買収したYammerが実践している手法を学ぼうとしていると、Network Worldの記事「Yammer impacting Microsoft's software development process」(マイクロソフトの開発プロセスに対するYammerのインパクト)が報じています。記事から引用します。
Specifically, Microsoft sees great value in the way Yammer introduces weekly changes and new features to its cloud-hosted suite and then closely monitors their usage to determine if they are useful to customers.
とりわけ、マイクロソフトはYammerが毎週更新を行い、新機能をそのクラウドベースのサービスに追加し、そしてそれを密にモニタリングすることでそれが顧客にとって便利なものかどうかを判断すると行った方法に、大きな価値を見いだしている。
Yammerをはじめ、FlickrやTwitterやFacebookなど多くのオンラインサービス企業は、開発と運用を緊密にし、運用で得られるメトリクスからのフィードバックを開発に積極的に取り入れ、それを速いサイクルで回していく手法を採用しています。こうした手法はDevOpsと呼ばれています。
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オンラインサービスとパッケージソフトの立場は逆転するか
マイクロソフトのオンラインサービスは、パッケージソフトウェアと互換性があることが大きなセールスポイントです。Exchange Server OnlineやSharePoint OnLineはExchange SeverやSharePoint Serverと互換性があり、Office 365はOfficeと互換性があり、Windows AzureのデータベースはSQL Serverと互換性があります。
しかしそれゆえに、開発体制も数年に一回大きなバージョンアップがあるようなパッケージソフトウェアの体制がベースとなっており、Yammerが採用しているような小さなバージョンアップを繰り返し、運用のメトリクスから得られる顧客からのフィードバックを素早く反映していくというものにはなっていないようです。
Network Worldの記事中で、SharePointのプロダクトマーケティングディレクターは次のように話しています。
"The influence these guys have had on us has been very deep," said Jared Spataro, senior director of SharePoint Product Marketing.
彼らが私たちにもたらした影響というのは非常に深いものだった。
マイクロソフトがクラウドやオンラインサービスに傾倒すればするほど、その開発にYammerのようなDevOps的なものを取り入れていくことになるのでしょう。そうなると、今後はまずオンラインサービス版がどんどん新機能などを取り入れ、顧客のフィードバックを得て先に進化していき、パッケージソフトウェアはあとからそれをまとめて反映したものとして登場することになるかもしれません。
マイクロソフトの中で、このようなオンラインサービスとパッケージソフトウェアの立場が逆転していくことが起こるのでしょうか?
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