Windows Azureの優良顧客にはStorSimpleが無償で提供されるらしい
マイクロソフトは10月にストレージベンダのStorSimpleを買収しました。このとき、Publickeyではこう書きました。
多少大胆に予想してみると、マイクロソフトはもしかしたらWindows Azureのストレージを一定期間以上利用することを条件に、StorSimpleのハードウェアを無償で企業に提供する可能性もあるでしょう
どうやらこの予想通りのことが行われているようです。GigaOmの記事「Microsoft sells Azure storage like a smartphone: free device with contract」が報じています。
Microsoft is offering a free StorSimple 7520 appliance “to keep forever (a $138K value!!)” to customers willing to commit to $100,000 a year — or about 100TB of data — to Azure storage.
マイクロソフトはStoreSimple 7520アプライアンスを無料で“永久に貸与(13万8000ドル(日本円で約1100万円)相当!!)”する予定だ。それは年間10万(日本円で約800万円)ドル - おおむね100テラバイト相当 - のAzure Storageサービスを利用予定の顧客に対して。
クラウドストレージの戦いは続く
StorSimpleは以下のようなハードウェアで、「クラウド統合型ストレージ」と呼ばれています。
ストレージ内のデータを定期的にクラウドへ自動バックアップする機能、ディザスタリカバリのためにアーカイブを作成して暗号化しつつクラウドへ保存する機能や、クラウド側のストレージを拡張領域とすることで仮想的に何ペタバイトでも保存できる容量制限のない超大容量ストレージとして利用する機能などがあります。
マイクロソフトがStorSimpleを買収し、優良顧客に無料配布しようとなど力を入れているのは、クラウドにとってストレージは、顧客がデータを蓄積するほどほかのクラウドへ移動しにくくなるため、クラウドベンダーにとって顧客をつなぎ止めるために重要だからです。
今月に入って、マイクロソフト、Amazonクラウド、グーグルは相次いでストレージサービスの値下げ合戦を繰り広げたばかり。各社ともストレージサービスの価格やサービスで熱い戦いを繰り広げています。
クラウドストレージの価格以外での差別化要因として利用するべくマイクロソフトがStorSimpleを買収したように、今後ほかのクラウドベンダがストレージベンダの買収、連携、提携といったことを今後さらに繰り広げることは十分にありえます。
逆にストレージベンダの側も、こうしたクラウドベンダに呑み込まれないように振る舞おうとしています。EMCがVMwareやCISCOを参加にしているのはもちろん、NetAppはストレージをAmazonクラウドに接続した「NetApp Private Storage for Amazon Web Services」を発表したばかり。今後もさまざまな動向があるはずです。
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