Windows Azureがデータベースのスケールアウト機能搭載、ハイブリッドクラウドも実現。Go Azure(後編)
日本マイクロソフトは6月29日と30日の2日間、イベント「Go Azure」を開催。IaaS機能などを強化したWindows Azureの新機能などについて詳しく解説を行いました。
Windows Azureは、これまで.NETに対応したPaaSとして利用するクラウドでしたが、今回の新機能でAmazon EC2に相当する仮想マシンの機能を追加し、Windows Azure上でLinuxをサポート。さらにAmazon VPCに相当する仮想ネットワークの機能など、IaaSの機能を強化しAmazonクラウドと正面から競合するポジションへと近づいてきました。
基調講演で紹介された新機能について、ハイライトを紹介します。
(本記事は「Linuxのサポートを開始したWindows Azure、「オープン性を特に意識した」新機能を解説。Go Azure(前編)」の続きです)
短時間でWebサイトも構築
「Webサイト」機能、これも新しい機能で、Webサイトをクラウド上に短時間で作成する機能。ASP.NETだけでなくPHPやNode.jsなどさまざまな言語でサイトを作ってもらえる仕掛けをたくさん用意した。
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Windows Azureのポータル画面からWebサイトを作って、Windows PCから、無償でWebサイトを構築するためのツールWebMatrixを立ち上げて、HTMLの編集などをすればすぐにWebサイトが作れる。
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WebMatrixは、Windows Azureとの連係を強化したバージョン2が現在RC(リリース候補版)が公開されている。Team Foundation Serverや、Windows Azure上にgitのリポジトリを作ってプッシュすることもできる。
また、ギャラリーからは、Windows Azure上で使うことができるCMSなどのアプリケーションをそのままWindows Azure上にインストールできる。
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SQLデータベースのスケールアウトが可能に
SQLデータベースについて。これまでの「SQL Azure」から「SQLデータベース」という名前に変更される。データベースのデータが、プライマリから複数のセカンダリへ複製されて冗長性を高めているのは変わらない。
新たに、SQLフェデレーションの機能がサポートされた。これによるデータベースのスケールアウトができるようになり、大規模なデータベースをクラウドへ持ってくることが可能になった。
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引き続き、KVS型のNoSQLデータベースはサポートを続け、Blobで動画や画像などをしまっておくためのストレージサービスも用意している。
仮想ネットワークでハイブリッドクラウド実現
Windows Azureの今回のリリースで大きな機能追加がネットワークの部分。
CONNECTは、オンプレミスのサーバとWindows Azureのサーバを1対1でつなぐ機能で、昨年から提供していた。
今回の新機能「仮想ネットワーク」では、オンプレミスのネットワークとWindows Azureのネットワークの接続になる。オンプレミスのデータセンターを拡張してハイブリッドクラウドを実現するために、なくてはならない機能。
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これで「クラウドを使う」という感覚ではなく、「社内サーバの置き場所がWindows Azureになっている」という感覚になる。しかも仮想サーバをVHDフォーマットでWindows Azureに持ち込んだり、その逆もできる。
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もうすぐ登場するWindows Server 2012の機能がほぼそのままWindows Azureに入っていて、管理ツールのSystem Centerの次期バージョンもWindows Azureを相当意識したものになっている。
ストリーミング配信のSaaSも
キャッシュサービスは、AppFabricのキャッシュサービスに加えて、Webロールの中にキャッシュを作り、複数のWebロールでキャッシュファームを構成する機能と、Workerロールでキャッシュを作り、データ層に近いバックエンドでのキャッシュを作れる機能が追加された。
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メディアサービスの機能も追加された。Windows AzureではIIS(Internet Information Server)が動いているが、IISのストリーミングの機能を使ったSaaSを提供する。ビデオコンテンツを持っていてオンデマンドに配信したい場合にはAzureでそのまま配信できる。
ロンドンオリンピックの北米向けのメディア配信はこれを使うことが決まっている。
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