ブロケード、ソフトウェアルータのVyatta買収でファイアウォール、VPNなども展開へ
ファイバーチャネルやイーサネットスイッチの大手、ブロケードコミュニケーションズシステムズが、オープンソースの仮想ルータを開発しているVyatta(ビアッタ)の買収を突然発表したのは先月のこと。
スイッチを中心とした機器ベンダであるブロケードはなぜVyattaを買収したのでしょうか。Vyatta買収に伴い、同社のソフトウェア戦略を担当することになった米ブロケードのルーティング/アプリケーション・デリバリ兼ソフトウェア・ネットワーキング・グループ担当バイスプレジデント、Ken Cheng氏と、Vyattaのワールドワイドセールス担当シニアバイスプレジデント、Sheen Khoury氏が来日し、記者向けに説明会を行いました。
ブロケードがVyattaを買収した理由をひとことで言えば、仮想環境に対応した効率的なネットワーク実現のためです。そのために、Vyattaのルーティングやファイアウォール、VPNなどの機能を展開していくとのこと。
仮想ネットワーク同士をサーバ内でルーティング
同社が想定しているシナリオは、例えばデータセンター内に複数の仮想ネットワークが設定されており、仮想ネットワーク同士をつなぐケースです。
このケースでは、Vyattaを活用することで中央の大型物理ルータをいちいち経由せず、サーバ内の仮想ルータや仮想ファイアウォール経由でルーティングできるため、トラフィックが遠回りせず、ネットワークを効率的に利用することができます。
Vyattaの買収は、ハードウェアベンダだったブロケードがソフトウェア分野へと本格的に乗り出していくことを意味しています。Ken Cheng氏は、「Vyattaは当社のソフトウェアビジネスの核となる」と表現し、今後はVyattaを中心にファイアウォールやVPNなどをはじめとするネットワークアプリケーションなども展開していくと説明。
ただし、同社のソフトウェアはあくまでもネットワークの機能に注力し、ネットワークの管理ツールやオーケストレーションツールなどネットワークの管理、制御についてはパートナーとの協力によって進めていくとしています。具体的にはCloud StackやOpenStackといったクラウドオーケストレーションレイヤとの連携を進めているとのことでした。
物理ルータを持っていなかったブロケード
ブロケードの製品ラインには、Vyattaのようなソフトウェアルータの普及によって浸食されるだろうエントリーレベルのルータ製品がありません。これも同社がVyatta買収に乗り出した背景といえます。逆にハードウェアルータに強味を持っていた競合ネットワーク機器ベンダらは、これからどういう戦略を立てて対抗してくるのか、この先のネットワーク業界がさらに面白くなってきました。