ブロケードがVyatta買収を発表。物理と仮想を包括する戦略へ
ファイバーチャネルのスイッチやイーサネットスイッチの大手、米ブロケードコミュニケーションズシステムズは11月5日、ソフトウェアルータ「Vyatta」(ビアッタ)の開発元であるVyattaの買収を発表しました。
オープンソースで開発されているVyattaは、ルーティング、ファイアウォール、VPNなどの機能を備えており、VMware ESX、Xen、Hyper-V、KVM、Oracle VMなどの仮想環境で動作します。
ブロケードによる買収に当たり、Vyatta.orgはコミュニティに向けて、引き続きオープンソースとしてサポートが続くことを宣言しています。
First, we’d like to assure you that Vyatta will continue to support the open source community. Without its support, the company would not have grown to be a leader in the software-based networking movement.
まず第一に確認しておきたいことは、Vyattaは今後もオープンソースコミュニティをサポートしていくということだ。このサポートなしでは、ソフトウェアベースのネットワークのムーブメントをリードしていくことはできないだろう。
ブロケードはハードとソフトの包括的統合を目指すだろう
Vyattaの買収はブロケードにとって、ネットワーク機器を提供するハードウェアベンダというポジションから、ハードもソフトも提供する総合ベンダへ向かうステップになりそうです。
というのも、仮想化時代のネットワーク構築には、高性能で安定した運用が可能な物理的なネットワーク機器だけでなく、必要なときにすぐ、いくつでも展開できる柔軟性をもった、ソフトウェアで実現された仮想ネットワーク機器が不可欠です。あらゆるネットワーク機器ベンダは、ハードだけでなくソフトによるネットワーク機器をも揃える総合ベンダへの進化を求められます。
Vyattaは、ブロケードに欠けていたソフトウェアによる仮想ネットワーク機器を実現する重要な製品となります。そしてブロケードは今後、すでに製品として持っている物理的スイッチやルータに加え、ソフトウェアのスイッチとルータの製品群を揃えた上で、これらすべてにまたがった包括的かつ柔軟なネットワーク構築と管理のフレームワークを提供することになると予想されます。
ブロケードの今回の買収は、シスコやジュニパーなどの競合よりもソフトウェア戦略において先手を打ったように見えます。これに刺激されて、ネットワーク機器ベンダが次々と新たなネットワークソフトウェア企業を買収する、ということが起こるかもしれません。
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