VMwareが「Software-Defined Datacenter」の実現を約束。VMworld 2012
VMwareのイベント「VMworld 2012」がサンフランシスコで開幕しました。同社は仮想化市場のリーディングベンダの地位を活かし、クラウド市場でも主導権を握ろうと買収や製品展開を積極的に行っているところです。
基調講演では、4日後の9月1日に退任することが決まっているポール・マリッツ(Paul Maritz) CEOが登場し、次期CEOとなるパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)への引き継ぎが壇上で行われました。
ゲルシンガー氏は、VMwareの次の目標がデータセンターを仮想化したSoftware-Defined Datacenterであることを示し、そのための戦略を解説しています。基調講演の模様をダイジェストで紹介しましょう。
ポール・マリッツ氏から新CEOのパット・ゲルシンガー氏へ
VMware CEO ポール・マリッツ氏。
4年前の2008年は、インテルベースのサーバで仮想化環境で動作しているアプリケーションは25%だった。いまは60%になっており、仮想環境は標準的なものになってきている。
そしてクラウドは、4年前なら「なんだそれは?」というレベルだったが、いまは「どうやって構築するのか」という段階に入った。
インフラはサーバからクラウドへ変化し、それに従って既存のアプリケーションも変わり、アクセスする方法もPCからさまざまなデバイスへ変わっていく。
ここで次のCEOとなるパット・ゲルシンガー氏を紹介しよう。
パットと私は30年前、1980年代にインテルのエンジニアとして一緒に働いていた。彼は、VMwareをまかせるにふさわしい人物だ。
(ゲルシンガー氏)ポール、舞台を去る前にサンキューと言わせてくれ。(会場から大きな拍手)
新しいCEOとしての私は、ポールの戦略を引き続き進めていく。(以下、ゲルシンガー氏の発言)
仮想化データセンターへの取り組みを明言
かつて、物理的なサーバを準備するには数週間かかった。いまは仮想化されたサーバの調達は数時間だ。しかし私たちが目指すのは、これを数分から数秒にすることである。
仮想化によって調達は迅速になったが、それでもまだ物理的な操作やマニュアル操作がネットワークやセキュリティ、ストレージの設定などに残っている。これらをすべて自動化し、仮想化されたデータセンターを実現していく。
Software-Defined Datacenterの実現。これが私たちのコミットメントだ。
Software-Defined Datacenterとは、すべてのインフラが仮想化されてサービスとして提供されること。そのために自動化のすべてがソフトウェアによって行われる。
vCloud Suite
いまのITはシステムごとにサイロになっている。特にデータベースベンダは垂直統合に熱心だ。
あらゆるデータセンターのアプリケーションのために、これを抽象化し、リソースをプールして自動化する、これが将来のデータセンターの重要な点だ。これによりジャストイタイムでサービスを提供する。
ではそれはどうやって実現するのか? 私たちはそのためにvCloud Suiteを先週発表した。vSphereを基盤に、ネットワーキングやセキュリティの機能、ストレージの機能などを含む、セルフサービスのためのカタログ機能やマネジメント機能、そして自動制御のためのAPIなど、包括的で高性能、信頼性を提供する。
価格体系をシンプルに
VMwareはあなた方の声にも耳を傾けている。昨年価格変更を行ったが、これを気に入った人は?(注:VMwareの昨年の価格変更は実質的な値上げと言われて大きな不評を買っていた)
アップルがなんでも「iなんとか」という用語を使うように、私たちもvを付けた「vなんとか」という用語をよく使う。昨年、その用語で不評な言葉があった。「vRAM」だ(注:価格改定で評判が悪かったのが、仮想メモリ=vRAMが価格体系に含まれていたこと)。
この言葉はもう使わない。vDictionaryから削除する。そしてシンプルで簡単な価格体系にする、CPUごとソケットごとに課金するというシンプルな体系だ。(会場から拍手)
マルチクラウドへの取り組みも
マルチクラウドな環境でのVMwareの利用が難しいという声も届いている。
その対策の1つがCloud Foundryの取り組みだ。これはマルチクラウドに対応したPaaSで、将来はAmazonクラウドなどにも対応していく。
また、DynamicOpsを買収した意図として、vCloud Directorの機能をあらゆるクラウドへ広げていくことにある。
Niciraの買収はSoftware-Defined Networkを実現するうえで重要だ。
そして私たちの役割をオープンコミュニティへ広げていくために、OpenStackオープンソースへの参加をここに正式に表明する。
Cloud Foundryは現在βだが、第4四半期で正式版とし、来年には顧客自身のクラウド上、VMwareの上やAmazonのうえで実行できるバージョンも提供する予定だ。
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