VMwareが仮想化ハイパーバイザとしてHyper-Vに対応。「vCenter Multi-Hypervisor Manager」をひっそりとリリース
米VMwareは仮想化ハイパーバイザとしてマイクロソフトのHyper-Vに対応した管理ソフトウェア「VMware vCenter Multi-Hypervisor Manager 1.0」をリリースしました。
vCenter Multi-Hypervisor Managerを利用することで、VMware製以外のハイパーバイザをシステム中に混在させて利用することができるようになります。リリースノート中の「What is VMware vCenter Multi-Hypervisor Manager 1.0」の一部を翻訳引用します。
- VMwareとサードパーティのハイパーバイザをシングルインターフェイスで管理するための統合プラットフォーム
- ビジネスにおいて部門ごとにニーズに合致した異なるハイパーバイザの選択を可能にする
- 特定のハイパーバイザベンダのロックインを排除
VMwareはこれまで、同社の仮想化ハイパーバイザであるESXiにのみ対応してきましたが、Hyper-Vの混在環境に対してvCenterから自動発見、設定、プロビジョニングなどの運用ができるようになります。今後、ほかのハイパーバイザへの対応も広がると予想されます。
混在環境へ向かうVMware
VMwareは今年の7月にクラウド管理ツールベンダのDynamicsOpsの買収を発表した時点で、他社のハイパーバイザなどの混在環境に前向きに対応していくことを以下のように表明していました(DynamicOps買収のプレスリリースから)。
VMware believes that customers will benefit most by a standardized architecture, but will build solutions that make it easy for customers to choose the model that best works for their needs, including heterogeneous environments/management.
VMwareは、アーキテクチャを標準化することが顧客のメリットを最大化すると確信しているが、顧客のニーズに応じた選択による混在環境での管理を容易にするソリューションの構築もしていくつもりだ。
DynamicOpsの買収は、そもそもこうした混在環境に対応したクラウド管理ツールを実現することを目的としており、今回のvCenter Multi-Hypervisor Managerはそれが具体的な製品として登場してきたことを示しています。
仮想化ハイパーバイザはVMware、マイクロソフト、オラクル、シトリックスなどから提供されており、現実には企業が特定のハイパーバイザだけの単一環境でシステムを構築することはほとんどありません。ハイパーバイザはコモディティ化しているといっていいでしょう。
今後、仮想環境での主戦場は、OpenStackやCloudStack、VMwareでいえばvCloud Directorといった、仮想マシン、ストレージ、ネットワーク全体を管理する、いわゆるクラウド管理ツールあるいはオーケストレーションツールと呼ばれる分野です。そこでは、さまざまなベンダのハイパーバイザや物理サーバ、ストレージ、ネットワークを幅広くサポートした上で統合管理できることが求められています。
VMwareが自社の単一環境から混在環境へのサポートへと向かうのは、そうしたオーケストレーションレイヤで戦うための必然だといえます。
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