Software-Defined Networkを基盤にクラウドOSの開発を目指すストラトスフィア
OpenFlowやネットワーク仮想化といった新しいネットワーク技術の登場と共に、それら新技術をベースにしたソフトウェア企業が次々に立ち上がっています。米国ではNicira NetworksやBigSwitch Networksなどが筆頭に上がり、日本ではミドクラやあくしゅといった名前が挙がるでしょう。
インターネットイニシアティブとACCESSが合弁で設立したストラトスフィアも、そうした新技術を用いた次世代クラウド基盤技術の研究開発を行う企業として今年の4月に設立されたばかり。
今日6月4日に、同社が開発しようとしている技術およびソフトウェアについての記者発表が行われ、代表取締役社長 浅羽登志也氏と取締役副社長 石黒邦宏氏から説明が行われました。
まず取り組むのはネットワークの仮想化
ストラトスフィアがいま取り組んでいるのは、ネットワークの仮想化技術です。「計算機やストレージのリソースなどが仮想化されてきたが、ネットワークの仮想化は遅れていて、ここがボトルネックになっている。情報システム全体を仮想化してインフラの全体最適などを実現していく」(浅羽氏)
このネットワーク仮想化の部分では、Nicira Networksなどと同様にエッジ部分の制御によってオーバーレイ型の仮想ネットワークを構築するとのこと。トンネリングプロトコルとしてNVGREやVxLAN、STTなどに取り組み、OpenFlowコントローラとしてNOXやFloodlight、Tremaなども扱っていくとのことです。
また仮想サーバが物理サーバ間を移動した際にも仮想ネットワークが連動する仕組みなども組み込み、OpenStackやCloudStackとの連係も実現していくとのこと。
こうした、マルチテナントを実現するデータセンター向けの仮想ネットワークを実現するという点において、「先行するNicira Networkなどの他社と比べてもそれほど大きな違いはないのではないか?」との指摘に、石黒氏は「たしかにそれほど大きな違いはない」と回答します。
クラウドOSを開発していく
では同社が開発しようとしているソフトウェアの差別化要因となるのは、どのような機能なのでしょうか。
石黒氏は、それがクラウドOSだと言います。同社のロードマップには、データセンター内のネットワーク仮想化が大規模化するだけでなく、クラウドOSへの方向性が示されています。
同社が考えるクラウドOSとはどういうものなのでしょうか。石黒氏の発言を引用しましょう。
「CloudStackやOpenStackは、クラウドコントローラ的なものかなと思います。クラウドOSは、クラウドコントローラとしてはOpenStackやCloudStackを取り込んで行きたい。
一方で、PaaSでは、あるオブジェクトを格納しているサーバが3台あった場合、どのオブジェクトがどの物理サーバにあるのか、どのサーバは死んでいるのか、といった取り扱いをPaaSのレイヤでやっています。これはIaaSのレイヤがそうした情報を提供していないので、仕方なくPaaSのレイヤがやっていると。
われわれ(のクラウドOSで)は、そういった本来ネットワーク層がやるべきところを取り戻そうとしています。インターネットのアーキテクチャが、エンド・ツー・エンドでマシンをつないでいくというアーキテクチャから、クラウドというプロセッサ、ストレージ、ネットワークが集約された新しいアーキテクチャになっていくときに、それにふさわしいものを作りたい。
そのためにPaaSのレイヤで必要とされているものを、いままでになかった技術を駆使して新しいサービスとして提供していきたい。それをクラウドOSとして考えています」
同社はSoftware-Defined Networkの技術を基盤とし、それを発展させていくことでこうしたクラウドOSの実現を目指していくことになります。
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