SAPがついに「データベース市場への本格参入」を宣言。ERPのデータベースとしてSybaseが選択可能に
ERPなど業務アプリケーションのトップベンダであるSAPが、データベース市場への本格参入を宣言しました。「SAPは今日あらためて、データベース市場に本格参入すると思ってもらっていい」(SAPジャパン リアルタイムコンピューティング事業本部長 馬場渉氏)。
SAPは2010年5月にサイベースを買収、同年12月にはデータベースのHANAも発表し、自社で業務アプリケーション、ミドルウェア、データベース、モバイル対応などを揃えるソフトウェアのフルスタック化を進めてきました。
SAPジャパンは5月9日に、業務アプリケーションスイートである「SAP Business Suite」対応の「SAP Sybase ASE」の提供開始を発表すると共に、サイベース製品のブランドにSAPの名称を追加。OLTP向けの「SAP Sybase ASE」、BI向けの「SAP Sybase IQ」、リアルタイム処理向けの「SAP Sybase ESP」などにすることも明らかにしました。
SAPジャパン社内にはデータベース・テクノロジー営業統括本部が創設され、本部長はサイベース代表取締役社長 早川典之氏が兼任します(引き続き企業としてのサイベースも存続)。
早川氏は、現在SAP Business Suiteのバックエンドで使われているOracleやSQL Serverなどのデータベースを、Sybase ASEへ置き換えていきたいと意欲を示しました。
業務アプリケーションとサイベース製品との連係を強化
SAPは業務アプリケーションの顧客に対して、サイベース製品を「あくまで選択肢として提供する。選択権は顧客にある」(SAPジャパン 代表取締役社長 安斎富太郎氏)とし、引き続きSAPの業務アプリケーションとOracleやSQL Serverとの組み合わせも取り扱っていく方針。サイベース製品との組み合わせで大幅な値引きをするといった強い誘導は行わないと説明しています。
一方で、製品のリリースタイミングの同期化や新機能への優先的な対応など、業務アプリケーションとデータベースを同一企業が開発し提供するメリットを強化していき、製品上の価値の高さで顧客にサイベース製品を選択してもらえる方向で注力するとのこと。
データベース製品群はHANAを核に統合へ
SAPジャパンはデータベース戦略も合わせて示しました。インメモリデータプラットフォームのHANAが戦略の核となります。
現在HANAはインメモリデータベースとして利用されていますが、今後はHANAを統合データプラットフォームとし、その上にモジュールとしてSybase ASEやSybase IQ、Sybase ESPなどを組み込めるようにすることで、データベース製品の統合を進めていくとしています。
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