Ruby PaaSのEngine Yardが日本で本格展開。IIJの「Mogok」も来月オープン予定と、Ruby PaaSが相次いで登場
Ruby on RailsやPHPのクラウド環境を提供するEngine Yardは9月4日、記者会見を行い、国内での本格展開を開始すると発表しました。すでに日本法人は3月に設立しており、国内データセンターでの運用や国内向けのサポートを正式に開始します。
Engine Yardは、Ruby on RailsやPHPに対応したPaaS型クラウドサービスを提供しており、今月からはNode.jsの対応も開始。基本的にはAmazonクラウドが基盤で、東京リージョンでの利用も選択可能になっています。
顧客ごとのシングルテナントがメリット
Ruby on Railsに対応したPaaSとしてはセールスフォース・ドットコムが提供するHerokuがよく知られています。Engine Yard日本法人の技術部長である今中崇泰氏は、Herokuと比較して「Engine Yardはシングルテナントにこだわっているところが最大の違い」と説明します。
データベースなどのリソースを共有するマルチテナントとは異なり、Engine Yardでは顧客ごとにデータベースやミドルウェアなどのリソースが分離されているシングルテナント方式を採用。そのため、データセンターレベルで障害が発生したときのフェイルオーバーなどの処理がテナントごとに的確に行えるとともに、OSレベルのパラメータ操作を含む柔軟な運用が可能な点などがメリットとのこと。
Engine Yard日本法人は当面、国内顧客のサポートやコンサルティングなどにフォーカスする予定。米Engine Yard CEOのJohn Dillon氏によると、国内のデータセンター事業者などへの展開も視野にいれているそうです。
IIJのMogokは10月に無償のオープンβが予定
Ruby PaaSとしては、日本のIIJも「Mogok」と呼ばれる新サービスを8月末にも開始予定としていました。しかしスケジュールが変更され、10月にオープンβとして無償公開の見通しであることが、Publickeyの取材で明らかになりました。
MogokはIIJ自身が運営するクラウドを基盤にしたPaaSとして開発されており、インフラからミドルウェア、そして言語のRubyも含めて純国産のサービスとして期待されています。
IIJは10月にオープンβとして公開したあと、年度内には正式サービスへ移行する予定だとしています。
すでに、セールスフォース・ドットコムは今年に入ってHerokuの日本人エバンジェリストを国内で採用、活動を活発化させています。そこへ今回のEngine Yardの国内本格参入、来月のIIJのサービス投入と、国内でのRuby PaaSの動きが盛んになってきました。
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