Rubyのまつもと氏が「2011 Free Software Awards」受賞。「おもわず涙を流しそうになりました」とコメント
フリーソフトウェアの推進のためにリチャード・ストールマン氏が創設したフリーソフトウェア財団(Free Software Foundation)は3月26日、「2011 Free Software Awards」を発表。フリーソフトウェアに貢献した人物としてRubyの生みの親、まつもとゆきひろ氏が「The Award for the Advancement of Free Software」を受賞しました。
受賞にあたり、まつもと氏にメールでコメントを依頼したところ、以下のような文章をいただきました。そのまま掲載します。
まつもと氏のコメント
Rubyの開発をはじめた1993年当時には「オープンソース」という単語そのものが存在しませんでした。また、LibrePlanet2012での講演でも話したように、私のソフトウェア開発者としての原点はEmacsであり、Emacsはプログラマとしての私にも、Rubyの言語仕様や実装にも大きく影響を与えています。ですから、私はGNUによって育てられたと言っても過言ではないでしょう。このような経緯から、私の心根はフリーソフトウェア派です。
日本人が開発し、世界に知られているフリーソフトウェアがまだまだ希少である現在、例外的な存在であるRubyは、国内でも高く評価され、実際過去にも数多くの賞を頂いています。しかし、私の原点であるGNUの総本山であるFree Software Foundationから、しかも、私にとってのヒーローのひとりであるRichard Stallmanその人から賞を頂けたことはなににもまして感動そのものです。受賞の瞬間にはおもわず涙を流しそうになりました。自分はあまり感動や感情を表に出すタイプの人間ではないと思っていたので、正直、大変意外でした。
ただ、日本には世界に知られてはいないが優秀な開発者、また優れたフリーソフトウェアがたくさんあります。彼らが将来FSF Awardを受けるかどうかはともかく、世界中でもっと広く知られるようになり、実力に応じた評価を受ける日が来るといいなあと思います。
EmacsはRubyに大きな影響を与えていた
まつもと氏のコメントにある「LibrePlanet2012での講演」のスライド「How Emacs changed my life」が公開されています。このスライドを見ると、Emacsの存在がRubyに大きな影響を与えていたことが分かります。もしもEmacsがなかったら、もしもEmacsがフリーソフトウェアでなかったら、Rubyが作られることはなかったかもしれません。
まつもと氏が「私の原点であるGNU」「私にとってのヒーローのひとりであるRichard Stallmanその人」と書いた意味が、このスライドから伝わってきます。
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