クラウド基盤を継続的デリバリで毎週アップデートするRackspace。OpenStack Summit 2012
NASAとRackspaceがオープンソースのクラウド基盤開発プロジェクトとして2010年に始めた「OpenStack」。その年次イベント「OpenStack Summit 2012」が先週10月15日から18日の3日間、サンディエゴで開催されました。
Rackspaceは8月にOpenStackを用いた商用のクラウドサービスを開始。すでにOpenStackは商用利用に十分な品質を備えていることを示しました。
この記事では2日目の基調講演に登場したRackspaceのTroy Toman氏の講演内容の前半で、主にRackspaceがどのようにOpenStackを使ってクラウドを構築、運用しているかについての話を紹介しましょう。
Rackspaceの貢献度は下がっている
Rackspace Hosting、Senior Director of Engineering for Cloud Compute、Troy Toman氏。
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RackspaceがOpenStackへ至った経緯、そしてOpenStackを私たちが利用している方法、そしてOpenStackの将来像の3つについて話そう。
Rackspaceは、クラウドのための基盤をスクラッチから開発し、世界で2番目に大きいクラウドベンダとして順調だ。しかし、2009年にはこれから先をどうすべきかについて決断した。
キーコンセプトはオープンソースを戦略のひとつとし、オープンで透明性の高いサービスを提供するということだ。これは大胆で野心的なアイデアだった。
さて、ここで普通の基調講演で話されることとは逆の話をしよう。EssexとFolsomを比較すると、私たちの貢献度は下がっている(会場から笑)。
(訳注:Essexは4月にリリースされたOpenStackのリリースコード名。Folsomは9月末にリリースされた次のリリースのコード名)
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これはコミュニティの幅広い努力が進んでいることを示しているし、この数字は引き続き下がっていくだろう。
RackspaceにおけるOpenStackの利用について
私たちはOpenStackを用いて4つのプロダクトベースのサービスを提供している。8月にリリースしたのが「Cloud Servers」、Swiftをベースにした「Cloud Files」、「Cloud Database」、ダウンロードしてプライベートクラウドを構築できる「Private Cloud」。
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Cloud Serversはクラウドの基本的要素であり、Novaを使っている。ネットワークにはQuantum/Melangeを使っている。おそらくMelangeをプロダクションとしてデプロイしているのは私たちだけだろう。GlanceはSwiftベースのストレージを基盤としてイメージマネジメントに用いている。
私たちはクラウドの管理にもOpenStackのクラウドを用いている。OpenStackのユーザーであり、オペレータでもあるのだ。
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こうしたクラウドを世界3カ所のリージョンに展開している。
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クラウドの構築、運用に継続的デリバリ
私たちはクラウドの構築、運用にContinuous Delivery(継続的デリバリ)を採用している。
私たちはEssex、Folsumといったマイルストーンリリースを用いるのではなく、定期的に1日に1回程度Trunkからコードをプルしている。そしてそれを検証するパイプラインを持っており、QAやプリプロダクション、ステージングといった一連の自動化システムを備えている。
その気になれば、新しいトランクから1時間以内に本番環境へデプロイできるのだ。
もちろん1時間ごとにデプロイしたいひとなどいないので(会場笑)、実際には週に一度程度これを行っている。現在デプロイされているのは10月10日のコードだ(会場拍手)!
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こうした短い期間でのアップデートはクレイジーな考えだと思われるかもしれない。私たちも以前に、安定したコードをベースを長期に使うか、それとも短い期間で頻繁にアップデートするか、多くの議論を行ったが、すばやくフィクスしていくという考え方にした。
数千、数万の仮想マシンをホストしている現在のクラウドを見ると、率直に言って(クラウド基盤の)テストなど無理だ。そこでポストプロダクションでは素早く修正する(フィクスファースト)にしようと決断した。
これは難しい決断だった。EssexからFolsomへのアップデートでは60ものデータベースのマイグレーションが必要だった。それでもこのアプローチは、私たちにとってうまく機能している。
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