PR:企業向けモバイルアプリ市場への参入で成功するには? アイキューブドシステムズのケース
多くの企業がモバイルデバイスを自社の業務に組み込もうと検討を始めています。しかし現状、モバイルデバイス向けアプリケーションの多くはコンシューマ向けに開発されているため、業務とどう結びつければいいのか、モバイルデバイスやアプリケーションをどう管理すべきなのか、課題は山積しています。
企業向けのモバイル市場には大きなビジネスチャンスがある一方で、これらの課題をどのように乗り越えていけばいいのでしょうか?
この市場にいち早く参入したアイキューブドシステムズ代表取締役 佐々木勉氏に、企業向けモバイルアプリケーション参入の経緯、課題、成功への道筋について聞きました。
お客様にモバイルの本質を理解してもらう
──── 企業向けのモバイルアプリケーション開発に参入したきっかけを教えてください。
佐々木氏 2007年頃から企業向けにGoogle Appsや AWS(Amazon Web Services)などのクラウドテクノロジーを利用したシステムインテグレーション業務を行っており、そのお客様からモバイル対応の要望があったのがきっかけです。しかし当時のお客様はモバイルへの対応を、業務画面を“数枚増やす程度”だと比較的気軽に考えられていました。
──── PCで見ているこの画面を、スマホでも見えるようにしてくれよ、という気軽な依頼だったわけですね。
佐々木氏 そうです。しかしモバイルデバイスの特徴を活かしつつ、業務システムをモバイル対応に拡張するには、業務システムの内部を理解して開発しなければなりません。
──── 業務画面をHTMLで作り直す、という方法ではだめだったのでしょうか。
佐々木氏 オフラインでも使えること、またモバイルデバイス特有の性質・機能を活用できることが、優れたユーザー体験を生み出し、それこそがモバイルアプリケーションの価値であると考えています。ですから、Webアプリケーションをモバイルデバイスで利用する、という方法は選択肢に入っていませんでした。
──── お客様に対してモバイルアプリケーションへ投資することを説得する材料は何だったのですか?
佐々木氏 モバイルアプリケーションの本質をお客様に理解していただくことでした。従来の業務システムとは異なり、モバイルアプリケーションには、社外や移動中などの比較的短い時間で素早い“閲覧”が可能な、シンプルな作りが求められます。使い方を教育することそのものをなくすため、タッチ操作が可能な直感的なユーザーインターフェイスも必要ですし、在庫データを客先で参照したり、商品マスターの一覧を見たり、現在の売り上げ状況を確認するなど、従来の業務システムとは違う視点で、モバイルシーンに合ったデータの加工と見せ方が大事です。
そういう新たな発想でもういちど業務システムを見直してはいかがでしょうか、という提案をして受け入れていただきました。
モックアップを作って詰めていく
佐々木氏 開発中はとにかくモックアップを作って、どういうデータをどういうユーザーインターフェイスで見せればいいのか、アイデアを「見える形」にした上で、お客様と徹底的に詰めていきます。業務システムからデータを取り出して加工する方法はあとで考えます。
というのも、業務システムから出発してしまうと、ERPはこういうデータフォーマットだから、この画面の機能はこうだから、などの制約が多すぎて発想が絞られてしまうのです。
いったん既存のシステムを忘れて、モバイルデバイスで何をしたいのかを考えてもらえるようになると、お客様からもいろんなアイデアが出てきます。そうなればお客様を巻き込んで非常に満足度の高いアプリケーションと、その先の発展が考えられるようになります。
──── 技術的な面での課題はありましたか?
佐々木氏 当時、モバイルアプリケーションを開発するツールもほとんどない中で、“モック祭り”の様に、作ってはフィードバックを受けて、修正して、フィードバックを受けて、修正して、ということを繰り返していました。やはり、完成度の高いモバイルアプリケーションを開発するには、お客様にさわってもらうこと、体験してもらうことが最重要であると考えたためです。
ただ、当時はまだまだデバイスネイティブなアプリケーションを作れるエンジニアが少ない中での長期間のモック祭りで、私たちがへとへとになっていました(笑)。
そこでHTML5に注目することになるのですが、当時はまだSencha TouchもjQuery Mobileもなく、JQTouchのような初期のモバイルフレームワークが少しずつ登場してきた頃で、私たち自身でもHTML5 やJavaScriptのフレームワーク開発に取り組み始めました。
特にGoogle Appsのようなクラウドや業務システムなど、外部と連係するコンポーネントがなかったので、そこは作らなければなりませんでしたし、モック祭り(笑)のおかげでノウハウが蓄積されていたので、企業向けモバイルアプリケーションの開発フレームワークという点で、より価値の高いものを提供できると考えました。
モバイルアプリとバックエンドの切り分けが明確に
──── 自社でフレームワークを開発したことで、モバイルアプリケーションの開発は変わりましたか?
佐々木氏 開発効率が非常に高くなりました。開発途中のアプリケーションを捨てて3回でも4回でも、お客様が満足のいくまで短時間で作り込むことができるようになったため、お客様にとっても開発への投資対効果が高いものになったと思います。
もう1つ効果があったのは、クラウドや業務システム側との連係コンポーネントが固まってきたおかげで、インターフェイスやデータ構造を、業務システムを構築しているシステムインテグレータに説明しやすくなった点です。こういうデータ構造が必要なんです、とお話しすると、最近の業務システムならだいたいすぐに対応できます。
APIがはっきりしたことで、モバイルアプリケーションを開発する私たちと、業務システムを担当するシステムインテグレータの住み分けもきれいになり、共存しやすくなりました。
──── それでも業務システムにつなぐのは簡単ではないのでは?
佐々木氏 アプリケーションサイドの連携コンポーネントなどはフレームワークの中に組み込んでいたので、技術的な面での難しさはありませんでした。一方で、業務システムへの入出力を含めたアプリケーションの提案となると、業務システム側に出入り口を用意する必要があったりと、まだまだ実験的な取り組みであるモバイルアプリケーションに、お客様は初めから大きな開発投資の決断をしなければならないという難しさがありました。
そこで、我々はまずはモバイルデバイスでデータを持ち運んでみましょう、出先から最新のカタログや顧客シートを見ましょう、という小さな1歩から提案を行いました。小さくとも確かな効果を“身を持って感じてもらえるよう”意識したのが、モバイルを導入していく上での1つの戦略だったといえます。
そうしてお客様自身、モバイルデバイスの良さを体感していくうちに、既存システムにとらわれた発想から、自然とこれを社内改善の取り組みに取り入れたいね、とか、コミュニケーションができたらいいね、といった次のステップへの取り組みへと、うまく進むようになりました。
────次回は企業向けモバイルアプリケーションのフレームワーク「CLOMO」や「Yubizo Engine」についておうかがいします。
(本記事はアイキューブドシステムズ社提供のタイアップ記事です)
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