デベロッパーコミュニティの運営に大事なことは何か? セールスフォース・ドットコムのコミュニティ担当に聞いた
クラウドベンダにとって、コミュニティの重要性が増してきています。いかにそのクラウドの周囲にデベロッパーを引きつけ、多くのアプリケーションを開発してもらうことがクラウドのビジネスにとって重要なためです。
セールスフォース・ドットコムのアダム・セリグマン(Adam Seligman)氏は、同社のデベロッパーリレーション担当 バイスプレジデント。Salesforce.comとHerokuのデベロッパーコミュニティーに向けた活動などを行っています。
都内で開催された同社のイベント「Cloudforce」に合わせて来日したセリグマン氏に、コミュニティの運営や展望について聞きました。
コミュニティで大事なのは、リスニング、イノベーション、トラスト
──── セールスフォース・ドットコムのデベロッパーコミュニティの特徴はどんなところにありますか?
一般に、クラウドのコミュニティ、あるいはモバイル開発者のコミュニティやソーシャルゲームのコミュニティなども共通して、非常に活発で革新的だと感じています。いま世の中のルールはどんどんオープンなものに変わってきています。そうした中でセールスフォースのコミュニティも爆発的な勢いで広がっています。
──── 私もクラウドのコミュニティは非常に活発だと感じています。その理由はどこにあるとお考えですか?
企業やビジネスそのものが大きく変化しているからだと思います。いまや、エンタープライズ向けのアプリケーションはもちろん、ソーシャル、モバイルなどのアプリケーションもクラウドを抜きにしては考えられません。
──── コミュニティを運営する上で、大事にされていることはなんですか?
リスニング、イノベーション、トラスト。この3つを大事にしています。
リスニングというのは、単にプレゼンテーションをするのではなく、会話をする。皆さんの話を聞くことです。そしてイノベーション。例えばこれはコミュニティに配布しているモバイル開発のガイドブックです。モバイル開発の実現は大変イノベーティブなテクノロジーで、こうしたイノベーションをエンタープライズへと広げていくことで、さまざまなチャンスが生まれると思います。
そしてトラスト。私たちは製品がきちんと安定して動くようにすると約束して、それを実現している企業だと信じています。セールスフォースのプラットフォームが処理するトランザクションのうち、約半数はAPI経由です。つまりデベロッパーが開発してくれたアプリケーション経由で行われています。それだけに、デベロッパーとの信頼関係は重要だと考えています。
──── クラウドのコミュニティは活発さを増してきていますが、コミュニティとベンダーの関係はこれからどうなると思いますか?
大事なことはコミュニティにとって有益となる先進的なクラウドプラットフォームを私たちが作っていけるか、ということです。そのために、私たち自身もコミュニティの参加者として、コミュニティから多くのことを学んでいます。
一方でベンダは参加するだけではなく、ベンダから仕掛けていくことも大事です。ユーザーのストーリーや成功事例を紹介する、デベロッパーに対してプロダクトでどんなことが可能なのかを説明する。デベロッパーに積極的に働きかけ、ときに勇気づけるといったことも必要だと思っています。
これはデベロッパーコミュニティについてお話をしましたが、同じことはカスタマーにもいえます。耳を傾け、対話をするというコミュニティの原則は、ビジネスにおいても生きるものだと思います。
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