イーサネットはツリー型からファブリック型へ進化する。ブロケードがファブリック対応の大型スイッチ発表
イーサネットで構築されるネットワークの姿が大きく変わろうとしています。これまでのイーサネットはループ構造になってはならないという制限がありました(ループがあると信号がそこをぐるぐる回り出してネットワークを機能不全にするため)。
そのためイーサネットのネットワークは一般的にはツリー構造で構築され、耐障害性を高めるためにそのツリーを二重化した上で、その半分はスパニングツリーによって待機状態になっている、というのが一般的なデータセンターにおける構成でした。ブロケード・コミュニケーションズ・システムズのスライドから引用します。
しかしこのネットワーク構成は、仮想マシンがサーバからサーバへとライブマイグレーションするような横方向のトラフィックをさばくのは得意ではなく、サーバ仮想化が一般化した現在のデータセンターには不向きだと考えられるようになっています。
そこで最近注目されているのが「イーサネットファブリック」です。これもブロケードがイーサネットファブリックの説明に使っている図を引用しますが、下図をご覧いただくと分かるように、イーサネットをツリー型ではなくファブリック型、織物の持つメッシュのような構造にするもので、ループ構造を許すだけでなく、複数の経路を束ねることもできるため、帯域幅も向上します。
米ブロケードの最高技術責任者 デイブ・スティーブンス氏は「ファブリックは次世代のデータセンターネットワークの核になる」と話し、「あらゆるネットワークベンダは、方法はそれぞれ違うが、こうしたフラットなネットワークアーキテクチャに向かっている」と指摘します。
その指摘通り、シスコ、ジュニパー、ブロケードなど主要なネットワーク機器ベンダは、それぞれイーサネットファブリックの製品化に取り組んでいます。またイーサネットファブリックを実現するためのTrillやSPBといった新しい標準技術も登場し始めています。イーサネットはいま、ツリー型からファブリック型へと進化の途上にあるといえます。
ブロケードがイーサネットファブリック対応大型スイッチ発表
ブロケードは10月3日、イーサネットファブリックに対応したデータセンター向けの大型イーサネットスイッチ「Brocade VDX 8770」を発表しました。1台で384個の10GbEポートと96個の40GbEポートを収容可能。4スロットと8スロットの2モデルがあり、スロット当たり4Tbpsのバックプレーン性能で、将来は100GbEにも対応できるとのことです。
同社はすでにファブリックに対応した48ポートからの小規模スイッチ製品などを揃えており、今回の大型スイッチの発表で小規模から大規模までをカバーしたスイッチ製品のラインナップが整ったことになります。
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