「“ソーシャルエンタープライズ”という用語はもう使いません」セールスフォース・ドットコムが宣言
「ソーシャルエンタープライズ」という用語は今後使わないと、セールスフォース・ドットコムが発表しました。同社はソーシャルメディアを使いこなす企業を「ソーシャルエンタープライズ」と呼び、企業がソーシャルメディアを活用することを積極的に推進してきました。
しかし「ソーシャルエンタープライズ」はIT以外の分野では、すでに別の意味で使われているとの指摘が同社に寄せられていました。
社会貢献の分野では、「ソーシャルエンタープライズ」という言葉を、営利・非営利を問わず、商業的戦略に基づき貧困撲滅や教育向上などの人道または環境上の課題解決を目指す組織と定義しています。
(プレスリリースから)
そのため、同社は以下の結論に達したとのこと。
セールスフォース・ドットコムは、このような懸念を表明している関係各所と話し合いを行ってきましたが、これらを総合的に判断した結果、今回「ソーシャルエンタープライズ」の商標登録申請を取り下げる運びとなりました。さらにセールス・ドットコムでは今後、各種マーケティングツールにおいても「ソーシャルエンタープライズ」という言葉を使用しない予定です。
英国の社会貢献団体である「Social Enterprise UK」は、今回のセールスフォース・ドットコムの発表に対する勝利声明を発表しています。同団体にとって「Social Enterprise」という名前そのものが別の意味で使われてしまうことになるのは困った事態であることは明らかでした。
今月中には新しいキャッチフレーズが示されるか?
セールスフォース・ドットコムは企業向けのソーシャルメディアであるChatterや、ソーシャルメディア分析ツールのRadian6など、企業のソーシャルメディア活用分野でリードしており、そのマーケティングとして「ソーシャルエンタープライズ」という用語を積極的に活用していました。
一方で同社は社会貢献にも熱心で、「1/1/1モデル」と呼ばれるルールで、就業時間の1%、製品の1%、株式の1%をボランティアに提供することを推進しています。今回の決断は、こうした中でのせめぎ合いの中で行われたことになります。
「ソーシャルエンタープライズ」という用語を使わないと宣言したとはいえ、同社のビジネスにとって、企業へのソーシャルメディア活用の支援という大きな方向性が変わるわけではありません。引き続きこの方向でマーケティングを行っていくのであれば、やはり何か新しく顧客に伝わりやすいキャッチフレーズのような言葉は必要となってくるでしょう。
今月9月19日から、米国で同社最大の年次イベント「Dreamforce」が開催されます。おそらくそこで、CEOのマーク・ベニオフ氏自身がこのことについて説明し、新たなキャッチフレーズが宣言されるのではないでしょうか。
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