富士通の旗艦、館林データセンターが電源障害でダウンし、金融機関やニフティクラウドに影響。日経コンピュータ誌
先月、6月7日の午前6時頃、りそな銀行、ソニー銀行、東京スター銀行など複数の国内金融機関でシステム障害が発生しました。ほぼ同時刻に、ニフティのブログサービス「ココログ」や「ニフティクラウド」などにも大規模障害が発生しました。
金融機関の障害についてはこの日、ScanNetSecurityがいち早く報じています。
同じ日、ニフティの障害については発表が行われています。
ほぼ同時刻に発生したこれらの障害は共通の原因があると推測されますが、どこでどんな障害があったのか、それぞれの報告から直接読み取ることはできませんでした。
そんな中、障害が富士通の旗艦データセンターである館林データセンターで起きているのではないかといちはやく指摘したのが、ブログSteady assimilationのエントリ「Steady assimilation: [biz] ニフティでデータセンター障害」でした。
ニフティなら当然富士通ですよね、というわけで障害情報を簡単にさらってみると、丁度富士通の館林で電源障害の広報が。おおう。館林は言わずと知れた富士通の最主力、それが死んだって事はニフティどころの騒ぎじゃない筈なんですが、その他顧客のサービス運用は大丈夫だったんでしょうか。
この指摘は正確でした(ちなみに、館林データセンターの電源障害の広報ページはすでに別の情報に上書きされているようで、消えています)。
この日、富士通の館林データセンターで何が起きたのか。障害の影響範囲と詳しい原因が、「日経コンピュータ」最新号(2012年7月19日付)の「動かないコンピュータ」に掲載されています。一部引用します。
富士通やニフティは、影響を受けたユーザー名や者数を公表していない。それでも銀行各社のサービスやクラウドのユーザー数を考えれば、数十万人規模に影響を与えたシステム障害と言える。
早朝の時間帯だったこともあり、障害に関する個別の影響についてはほとんど報道されていませんが、全体で見れば大きな影響を及ぼした障害だったようです。
電源障害発生、原因は基盤に塵や埃が付着したこと
日経コンピュータの報道によると、障害が起きたのは館林データセンターで1995年に開設され、主にアウトソーシングサービスを提供するA棟。ここで、館林データセンター全体の7%に相当する範囲で電力供給が途絶えたとのこと。
1台の無停電電源装置(UPS)が故障した際に、予備のUPSへ切り替えるための「出力分岐盤」が正常に機能せず、サーバへ電力を分配する分電盤へ電力供給が絶たれ、その結果サーバへの電力供給も途切れたのが大規模な障害につながったと説明されています。
そしてその原因は、「プリント基板とリレーのすき間に導電性の塵埃が付着したことによって、リレーの誤作動が生じた」と富士通広報。2013年3月までには信頼性を高めた新たな機器を導入するそうです。
もっと積極的な情報公開を
今回の館林データセンターでの障害は、アウトソーシングサービス主体の建物で発生したこともあって、顧客が望まない限り勝手に富士通がアナウンスしにくいという事情があったのかもしれません。そうした中で取材を通して詳細な原因の報道に至った日経コンピュータは、いい仕事をしたと思います。
一方、富士通のデータセンターで障害が発生したことは断片的な情報から明らかなのですから、データセンターやクラウドの信頼性の醸成や、業界での情報共有を考えると、富士通はもっと積極的な情報提供ができなかったのだろうかと思います。
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